東北(福島・宮城・岩手)の桜撮影旅2013 (16) 岩手県大船渡市 大船渡町の桜
2011年4月、大船渡に着いたとき、瓦礫の中に立つ1本の桜が目に入って、思わず車を止めた。それが一番上の写真、大船渡町の児童公園にあった桜だった。津波をかぶっていたが満開の花を咲かせていた。凛々しく力強いその姿に心を動かされて写真を撮った。
今年大船渡市を訪ねたのは、4月20日。どうなっているだろうと気がかりだったが、この桜はしっかりと生きていた。まだつぼみが多かったが、望遠レンズで覗いたら、数輪の花が咲いていたのだ。
今年は都合が悪くて、満開の時期までいることはできなかったが、生きていることだけ確認できただけでもよかった。また来年来ようと思う。
丘の上に桜を見つけた。こちらは8部咲きくらいで、地元住民の管理する公園だった。ここで知り合った人にお茶をよばれた。基本、よばれたら絶対断らないので、お宅におじゃました。旦那さんと奥さんの二人暮らし。
児童公園の桜だが、奥さんによると、あれは数本あったうちの1本だったのだという。買い物に行くときはいつもあの桜の下を通っていたので、親しみのある桜だった。
彼らの家はこの公園の少し下で、津波は来なかった。でも、親戚知人には亡くなったり行方不明になった人は当然いる。
奥さんは遺体置き場を周ったときの様子を涙ぐみながら語った。「地獄ってこういうことだと思った」といった。俺はただ黙って話を聞くだけだった。
2011年、2012年の桜の写真はこちらで。
東北の咲【わら】う桜 (02) 岩手県大船渡市 大船渡町の桜
今年の桜撮影の連載はこれで終わります。
今年は、今まで撮影できなかった福島県の桜を中心に周りましたが、時間の都合で、岩手県北部まで行くことができなかったのが心残りです。
でも、桜と桜にかかわる人々の写真はこれからも撮り続けようと思います。少なくとも自分の中での「震災記憶の風化」を防ぐためにも。東北出身者の役割でもあるように思うし。
いや、そんな硬苦しいことよりも、被災桜を見ると、俺自身が元気になるのです。それだけでもじゅうぶんかもしれません。
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