東北(福島・宮城・岩手)の桜撮影旅2013 (02) 福島県富岡町 「夜ノ森の桜並木」の異常な静けさ
一昨日、昨日の強風で花が飛ばされてしまったようで、満開ですが、スカスカな感じです。
午前8時ころまでは、300mほどの満開の桜並木に俺一人という、この異常な状況にちょっと慣れませんでした。
ファインダーを覗いていると車が背後で止まったのがわかりました。振り返るとパトカーでした。「職質か?」と思ったら、そうではなくて、なんと俺の写真にパトカーが入らないように、撮影が済むのを待っていてくれたんです。それがわかったので手で「どうぞ」と促したら満面の笑みを浮かべて丁寧にお辞儀をして去っていきました。
これほど異常な場所はないわけですが、その異常さと、警官の過剰ともいえる愛想のよさとのギャップがあまりにも大きく、また頭がくらくらしました。
9時過ぎると取材者がたくさんやってきました。テレビ局、新聞社、フリーのジャーナリスト、写真家・・・。たぶん、今日のニュースや夕刊で見ることができるのではないでしょうか。俺も映っているかもしれません。
富岡町出身の親子3人組(写真の3人)の写真を撮らせてもらっていると、「写真を撮らせてください」と、記者から逆に頼まれました。どうも俺が彼女たちの「お父さん」に思われたらしい。
ところでこの親子の話には、考えさせられました。
テレビで報道されるのは老人ばかりで、「若い人たちはどうしているの?」と聞かれるそうです。たしかにそうかもしれません。「若い人たちは元気ですよ」とお母さん。
娘さんは言いました。「20年後に言いたいですね。ほら、なんともないでしょ?って。普通に元気で暮らしてます。放射能になんか負けてないですよ」
もちろん彼女たちのような前向きな人たちばかりではないかもしれないけど、去年の桜の撮影でも思いましたが、「被災者」イコール「不幸」みたいな目で見られることにうんざりしているようです。そういう「同情」がどれほど人を傷つけているか、ということもあるようです。
「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」という言葉があります。たぶん、自ら意識してポジティブになることで自分にエネルギーを与えているのかもしれません。そうならざるを得ない状況に追い込んだ企業や国が罪深いのですが。
ところで桜の木が茶色くなっているのは、除染で表皮を削ったからだそうです。
玉子の自販機がありましたが、それもそのまま。中には割れた玉子が残っていました。
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