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2013/05/03

映画 『ヒミズ』 を観て

130503(2011年4月 岩手県陸前高田市)

【ネタバレ注意】

この映画には原作があります。俺は原作は知らないので、「映画ヒミズ」のことしか語れないし、むしろ「映画ヒミズ」を先入観ナシで観ることができてよかったなとも思います。

ほとんど何も知らない中で観た感想ですが、これは被災地に対する応援歌でもあるんだろうな、というのが第一印象でした。冒頭のシーンはあきらかに被災地の瓦礫でした。あとで、震災があって、脚本が書き換えられたらしいということも知りました。

まぁ、そこはあれだけの大惨事がおきたわけだから、これに触れないで映画を撮ることも難しかったんだろうなと思います。いやあえて、今は触れなきゃならないと思ったのかもしれません。「震災後」という原作とは決定的な時代の違いがあります。

「被災地に対する応援歌」という部分には共感します。ただ・・・

主人公スミダは、父親を殺してしまいます。まぁ、こんなひどい父親がいるのかというくらいひどい父親です。ただやっぱりここまで暴力シーンが多いと、ちょっと引いてしまいます。スミダを殴れば殴るほど、父親の姿が芝居っぽく見えてきて、俺の中ではリアリティを失っていきました。

親を殺してしまうような憎悪は、意外と、この父親のようなわかりやすい暴力からは生まれないのではないかなと思っているからです。動機が単純すぎるかなと。

スミダは自暴自棄になって、自殺まで考えます。

でも、すべてを失い、どうしようもないところまで落ちても、「再生はできる」と、盛んにメッセージが送られてきていました。女の子のせりふを通して。

だから映画の最後で「がんばれ!」という、一番聞きたくないセリフを臆面もなく叫ぶふたりに、白々しさよりも、ストレートな魂の叫びにも聞こえ、もしかしたら、俺は、このストレートさを失っているのではないかなと感じました。

言葉はなんでもいい。「がんばれ」だろうが「ばかやろう」だろうが「わーっ」だろうが。この叫びが俺にも欲しいのです。

ところで、あそこまで女の子に献身的に支えてもらうことができるスミダは、この時点ですでに幸せ者だと思いますが。
 
 
 
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