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2013/06/25

中国雲南省の世界遺産「紅河哈尼棚田群の文化的景観」の名称にひっかかるものを感じる理由

130625_1(元陽県 老虎嘴風景区の棚田)

130625_2(元陽県 老虎嘴風景区の棚田)

130625_4(元陽県 イ族)

130625_5(元陽県 イ族)

今回の第37 回世界遺産委員会プノンペン会議で世界遺産に登録されたのは、中国雲南省の「紅河哈尼棚田群の文化的景観」 Cultural Landscape of Honghe Hani Rice Terraces というものもあります。

ずいぶん前からいずれ登録されるだろうと言われてきましたが、ようやくですね。

俺が初めて紅河哈尼(ハニ)棚田群の中心になる元陽県に行ったのは、1994年だったと思います。

雲南の棚田自体は、その2年前の1992年に、元江県の山の中で見ました。このときの村滞在がきっかけで「棚田」に目覚め、アジア各国・マダガスカルの棚田を訪ね、日本の棚田百選もすべて周ることになったのです。

当時はほとんど観光客もなく、静かな山村でしたが、あれよあれよという間に、世界中の人がやってくる一大観光地になりました。観光客の多さに辟易している人もいるくらいです。そこで今度は世界遺産の登録です。ますます観光客は増えていくでしょう。

それにしても、「紅河哈尼棚田群」というこの名称、ちょっと誤解を与えるかもしれません。「紅河哈尼棚田群」といっているのは、「紅河哈尼(ハニ)族彝(イ)族自治州の棚田群」だと思っていましたが、「紅河州の哈尼(ハニ)族の棚田群」という意味に受け取る人がいるかもしれません。

いや実際に、twitterやブログでは「世界遺産に登録された中国のハニ棚田」とか、「中国雲南のハニ族の棚田は・・・」と表現している人もます。でも、それが紅河州全体の棚田群を指しているんだとわかったときは、ちょっと違和感を持ちます。

ただ、これには事情があるそうです。紅河ハニ棚田に詳しい人に情報をもらったので、文を一部修正します。(2013/06/29)

実は、世界遺産の登録名称の「紅河ハニ棚田群」に限っては、紅河州全体の棚田群のことではなくて、実際には「元陽県の棚田群」らしいのです。だから名称には「州」が入っていません。(もちろん紅河県でもありません) それと「元陽県」も入っていません。提案した学者がハニ族だったので、とうぜん「ハニ」は入りました。そして「紅河」という知名度のある名前を付けて、ブランド化を狙ったものらしい。政治的な、民族的な理由でこのあいまいな名称になったという話です。

まぁそういう事情があるんだろうなという予感はしましたが。

世界遺産は、「ハニ族の棚田」ですが、棚田を作っているのは、ハニ族ばかりではありません。だからそういう事情を聞いた後でも、民族が混在しているところで、「ハニ族の棚田」というくくりには、やっぱり違和感を持ちます。

2000年の統計ですが、元陽県を例にとってみると、ハニ族52.6パーセント、イ族23.7パーセント。他にタイ、漢、ミャオ、ヤオ族となっています。

どうしてこんなことにこだわるのかというと、家に泊めてくれた人や、お世話になった人には、けっこうイ族の人が多くて、しかも、イ族とハニ族は、普段仲良く暮らしてはいるんですが、話を聞くうちに、関係は微妙なところもあって、はっきりいって「どうしてハニ族だけが注目されるんだ?」という不満もイ族からは聞いたからです。

まぁ、だから俺くらいは、イ族の話題を出してもいいかなと。どうせ放っておいてもハニ族の話題はみんなするでしょうし。

元陽の主要な風景区のひとつ、「老虎嘴風景区」のモンピン村にもイ族が住んでいます。夕日が美しい風景区ですが、あるとき俺は帰りのバスに乗り遅れて(バスが来なかったので、運休したのかもしれませんが)、この村のイ族の家族に泊めてもらったことがありました。

夜中、ネズミの運動会で熟睡できませんでしたが、翌朝「よく眠れたか?」と主人に聞かれて、俺は目に隈を作りながらも「よく眠れました」と爽やかに答えたのでした。
 
 
 
Ya_2写真ギャラリー「雲南省の棚田」(オリザ館)

Ya_2「元陽の棚田と春節」(オリザ館)

Ya_2「あるイ族村の涙ぐましい観光化計画(2008/07/31)」
 
 
 
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