佐村河内守作品の登場人物にされる腹立たしさ
俺も作曲しますが、残念ながらゴーストライターは天地神明にかけていません。
ネットのニュースで佐村河内氏のスキャンダルを知ったのはラオスにいたときでした。
たまたまNHKの佐村河内氏のドキュメンタリー番組を見ていたこともあり、こんな人がいるんだろうか?と俺は少し疑っていました。でも、ちゃんとNHKも取材しているんだから、こういう天才もいるんだろうなと思わざるをえなかったのですが。
それにしても、今回の記者会見はすごいですね。
大きな嘘の枠組みの中で、小さな事実にこだわる佐村河内氏。まるで小説の書き方と同じですね。この記者会見を含めた全体が、彼の「作品」になっているのが腹立たしいです。
大きな虚構の世界にマスコミほか俺たち全員を登場人物として巻き込んでいるんだから、たいしたやつだと思いますよ。
ある意味、佐村河内氏は世間が求めていた「物語」を演じていたとも言えるかも知れません。
現代のベートーベン、全聾の作曲家、しかも被爆2世。
あまりにも「できすぎた話」ですが、そんな小説のような奇跡を世間が信じたがっていたという側面はあったと思いますよ。あまりにもできすぎて「ありえないような話」だから、かえって信じてしまったということなのかもしれません。
どこかの宗教の教祖のように、中途半端な嘘ではなくて、「空中に浮くことが出来る」とか、徹底的に荒唐無稽な、ばかばかしいほどの嘘の方が、逆に信じられてしまうという人間の心理があります。
そしてその物語は、まだ終わっていません。記者会見が第2章の始まりです。
佐村河内氏は、嘘がばれて記者会見することさえも、自分の作り上げる物語の一部であると感じているのではないでしょうか。「奇跡の天才が、一転して地に落ちる」。こんなドラマチックなことはないから、、佐村河内氏の作品にとっては、かっこうのエピソードになります。
あの「謝罪会見」という名目の自己PRの会見は、なんと自信に満ち溢れていたことか。ふてぶてしい表情や、この件を暴露した一番避けたいはずのジャーナリストからの質問を、自分から指名して受けたというところにも現れていると思います。しかも、あんな大きくてアウェイな会見を自分だけでやったんだから。
まんまと彼の物語を完成させる片棒を担がされている気がしてなりません。しゃくにさわりますね。完成した物語を楽しむのは佐村河内氏だけだからです。
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