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2014/05/13

「ダウンシフター」という考え方について引っかかる点

140513

先日のNHK「特報首都圏」で、広がる“ダウンシフター”~働き方・生き方 多様性時代~というのをやっていました。

番組HP
http://www.nhk.or.jp/tokuho/program/140509.html

「ダウンシフト」とは「減速」を意味するようです。いそがないで、のんびり生きようよということらしい。

こういう生き方というか、考え方というのは、別に今に始まった話ではなくて、昔からある考え方で、何年か前の「スローライフ」も同じような考え方でしょう。だから特別目新しいものではありません。

時々「新しい言葉」が現れて、それによって、その考え方が、世の中に再認識されるという効果はあると思います。「スローライフ」と同じく、昔から繰り返されてきたことなのです。

俺もこの考え自体に文句があるわけではありません。というか、俺がずっと昔からやってきた状態(見かけ上ですが)そのものだとも思うし。

だから、こういうのは、どうなんでしょうか? 新しい言葉は新しい概念を伴わないと、「単なる流行」のそしりをまぬかれないかもしれません。

「やろう」と思ってできることでは、たぶんないかもしれません。「生き方」「考え方」というより、むしろもっと性格的なことなのかもしれないとも思うからです。

番組に登場していた人たちも、「忙しい仕事を辞めてダウンシフターになった」というより、もともと彼らの中にあったそういう性格というか性質が、表に現れてきただけだと俺には見えるからです。

その証拠に、この「ダウンシフター」のことを知って、じゃぁ俺もやってみようと思う人はそう多くないはずです。たいていの人は、忙しいほうが好きなのではないでしょうか。「うらやましい」とは口では言いますが、本音を言えば、「暇でいいねぇ」とバカにしている人の方が多い気がします。(ここ、ひがみ入ってます) バカにするほど正直ではなくとも、「仕事が忙しい俺が好き」とは内心感じているのではないでしょうか。

俺はそれが悪いとも思わないし、むしろ逆です。実際こんな世の中なので仕事があるのはありがたいことなのです。

なにも欧米の考え方に合わせて、「ダウンシフター」や「スローライフ」なんて真似をすることはないと思っています。なぜ堂々と「日本人は仕事バリバリやるのが好きだから、休暇を取らなくてもいいんだ」と自信を持って世界に公言しないのでしょうか? (仕事をしない俺が言うのもなんですが。もちろん半分は皮肉ですけど)

ただ、ひとつ、注意しないといけないことがあります。この「ダウンシフター」のような生き方が、自分で選択した点です。つまり、ワーキングプアーが社会問題になっているように、働きたくても働けない人や、いっしょうけんめいに働いても貧しい状況から抜け出せない人たちもいます。見た目、ダウンシフターと似ていますが、彼ら(俺もか?)は、自分で選択してそうなったわけではありません。やむを得ずそうなっているのです。

ダウンシフターは、年収が下がったけど、自分の好きなことがやれるようになったなどと、自慢そうに言いますが、それは「まだ選択できるだけの余裕がある」ということなんです。

余裕があって裕福だから、「お金がなくても幸せを感じる」などと、言っていられるのです。ここが選択の余地のないワーキングプアとは違います。「減速」したくてもできない人もいます。

スピードを出して走っていなければ減速じたいできません。スピードを出して走っていた人でなければダウンシフターにはなれない、という意味にも取れるし、どうも引っかかるのは、この点ですね。ちなみに、俺は最初からローギアで走ってきたので「ダウンシフター」ではありません。

だからダウンシフターを公言する人たちは、ここに注意してほしいと思うわけです。その意識がないと、たんなる「金持ちのお遊び」でしかなくなって、社会に広く受け入れられる生き方、考え方にならないのではと心配します。
 
 
 
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