「敵の敵は味方」という外交の鉄則
「敵の敵は味方」という言葉があります。アラビアの昔の王様が言ったという説もあるようですが語源ははっきりしません。
まさに今、これを思わずにはいられない状況があります。
ひとつはイラクです。アメリカの敵であったイランと、ISIL(イラク・レバント・イスラム国)をめぐって協力するかもしれないというニュースがありました。政治の皮肉と言ったらいいか、なんだかこっけいな図です。あれだけお互い非難し合っていた仲なのに。
「敵の敵は味方」とはあまりにもえげつなくて公然とは言わないですが、「外交の鉄則」らしいですね。いやこれこそが本音であり、大切なことなのでしょう。
アメリカはイラクに大量破壊兵器があると信じて(言い張って)イラクのフセイン政権を倒してしまいました。これにも日本は加担しているわけで人事ではないのですが。
その後のイラクの混迷は「民主化」なんていう西欧の価値観をそのまま押し付けた結果とも見えます。「民主化はいい」と信じていますが、ほんとうにそうなのかはわかりません。将来、歴史が結果を出すでしょう。
「人権」も「民主化」もアメリカの国益に合っている場合だけの話であって、国益にかなうなら、人権無視の独裁政権も認めているのです。中国はどうですか。1党独裁で人権無視の国とも、ビジネスのためには認めているではないですか。アメリカだけではなくて、それは日本も同じです。これを見ただけで、「人権が大切」とか「民主化」とかと言っているのは国益の前では嘘だということがわかります。嘘と言うと極端かもしれませんが、優先順位は低いということです。もっと大切なものは「敵の敵は味方」ということ。
それで、日本は最近、韓国との仲が悪くなっていますね。それに呼応するように持ち上がってきた北朝鮮の拉致被害者の問題解決の進展。これも北朝鮮の「敵(韓国)」の「敵(日本)」は「味方」という図にも見えます。あまりにもタイミングが良すぎます。
「敵の敵は味方」が「外交の鉄則」なら、これを利用しない手はありません。拉致問題のためには、韓国との敵対関係はプラスに作用しているのかもしれません。パククネさんには大いに日本バッシングを続けてもらいましょう。もちろん外交はそう単純なものではないとは思いますが、大きな枠組みでは、今、拉致問題解決の好機なのではないでしょうか。
ここで拉致問題を一気に解決し、解決した後は、北朝鮮を何かの方法で挑発し仲たがいし、「敵」にまわし、それから「敵の敵は味方」で、韓国との関係を改善するという流れでどうでしょうか。
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