『ANOTHER JAPAN 電線王国』のスライドショーをYouTubeにアップ
ANOTHER JAPAN もうひとつの日本の風景「電線王国」のスライドショーをYouTubeにアップしました。以前から撮り続けてきた電線・鉄塔・電柱のある風景写真です。
情報や電力が行きかう電線が縦横無尽に走っている日本の空。「景観」などまったく無視したような無秩序な電線や電柱や鉄塔。
田んぼの中で、我が物顔で空をひとり占めにしている巨大な鉄塔たちは、人間を踏み潰すエネルギーの巨人です。空を飛び交う電線は、人間を切り裂いてしまう鋭い矢です。
電線や電柱や鉄塔に妙にひかれます。
風景写真を撮るときは、なるべく電線や電柱は入れないで撮るというのが普通なのかもしれませんが、そういうふうな写真だけ撮っていると、だんだん我慢できなくなってきます。どうも違うのです。心のバランスを取るかのように、電線がある風景を撮りたくなってしまうのです。
「おそらく何百年後かには見られなくなってしまうかもしれない風景」。逆に言えば「今だからこその日本の風景」なのです。「棚田」と同じように。
「電線がわずらわしい」とか「電柱のある風景は醜悪だ」と思うのは、「今」だからなのです。自分が100年後、1000年後の人間になったことを想像すると、この「電線王国」の風景も、違ったふうに見えてくるはずです。
俺が「電線王国」の写真を撮り続けるのは、外国人が日本の「電線王国」に興味を持つ理由とはちょっと違うかもしれません。
「棚田」と「電線王国」はずいぶん違うテーマだとと思われるかもしれませんが、相反するものだからこそ、両者を撮ることで心の安定を得ているのかもしれません。
この両者はどちらも「俺の原風景」であるに違いありません。だからどちらか一方では、気持ちが落ち着かない、バランスが悪く感じるのです。
たぶん、「電線王国」と「棚田」は、俺の無意識の中の「何か」が意識されたものとしての目に見える形なのかもしれません。心象風景です。その「何か」はまだはっきりとはわかりませんが(だから無意識と言うんでしょうが)。
もしかしたら「電線王国」は「無秩序」や「混沌」に対する俺のあこがれかもしれません。
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