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2014/11/01

美しい島を舞台に、現代的問題と向き合う島の人々を描いた映画 『海と大陸』

141101(写真は映画とは関係ありません。沖縄県本部町の海)


『海と大陸』は、第68回ヴェネチア国際映画祭 審査員特別賞受賞ほか各地の映画祭で絶賛された映画だそうです。

出演: フィリッポ・プチッロ
監督: エマヌエーレ・クリアレーゼ

「イタリア南部の小さな島で代々漁業を営んできた一家が、法律違反と知りながらアフリカ難民の命を救ったことから始まる人生の転機を風光明媚(めいび)な風景と共に映し出す。」
Yahoo映画 「海と大陸」
http://movies.yahoo.co.jp/movie/%E6%B5%B7%E3%81%A8%E5%A4%A7%E9%99%B8/342647/story/

【半分ネタバレ注意】

舞台はイタリア、シチリア島の南にあるリノーサ島。

漁師の家族が偶然にも、アフリカからの難民母子をかくまうことになり、それがいろいろ問題になるという話です。主人公20歳のフィリッポは、プチッロ家の一人息子ですが、今はおじいさんのエルネストと漁に出ています。

難民女性は息子とともに難民ボートから海に飛び込んだところを助けられ、その夜、赤ちゃんを出産するのですが、イタリアでは(映画では)、難民をかくまうのは違法らしく、他人に知られないように自宅にかくまい続けます。

フィリッポ、エルネストと対照的なのが、フィリッポのおじさんで、難民が島に来ることを嫌っています。島のイメージが悪くなって観光客が減ることを心配しているのです。だから難民を助けることに消極的です。

昔ながらの、海で生きる漁師のおきてに従うのか、それとも法律に従うのかで、島の人たちに葛藤が生まれます。

最後、フィリッポはある行動に出ます。母子を島から逃がすためでした。それまで何か特別の思いをもって生きていたわけではなく、周囲からは「子供っぽい」と言われていたフィリッポですが、この一件をきっかけに大人になったようです。


難民の境遇を語るシーンがあります。難民女性サラの出身地はエチオピアですが、リビアでも一時捕まりました。小舟で地中海を渡って、夫が働いているイタリアの町を目指していたのでした。海洋警察に捕まれば強制送還されてしまいます。だから海洋警察の船が近づいた時、海に飛び込んだのでした。

着の身着のままで、死ぬかもしれない危険な航海。そこまでしてなんで?と疑問を持ってしまいますが、それだけ切羽詰っているということなんでしょう。俺たちには想像すらできないすさまじい境遇です。それはあまりにも「命が安い」ように見えます。

サラは、プチッロ家にかくまわれていても、自分が歓迎されていないことは知っています。最初、フィリッポの母親ジュリエッタも、食べたら出ていくようにと促していました。でもだんだんとサラに同情していき、ふたりの心が通いあいます。そして生んだ赤ちゃんに、ジュリエッタの名前を付けるとサラがジュリエッタに言います。サラのジュリエッタに対する感謝を表すシーンですが、俺はここが一番好きです。

言葉も片言で心細いだろうし、歓迎もされていない状況で、親切にされたら涙が出るほどうれしいものです。何もお返しのできないサラですが、なんとか感謝を伝えたいという思いが、ジーンと心に迫ります。俺にも外国で親切にされた体験があるので、このシーンでいろんなことを思い出してしまいました。

美しい島を舞台に、現代的問題と向き合う島の人々を通し、最終的には自分の心の声に従って生きるしかないんだなと感じさせます。お勧めの映画です。
  
 
 
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