昭和の「旅人のアイドル」 高倉健さんと菅原文太さん
高倉健さんが亡くなったと思ったら、今度は菅原文太さんも亡くなりました。
昭和の映画界を担ってきた2大スターを一気に失って、さらに昭和が遠くなった気がします。
文太さんは息子さんの死をきっかけに映画界から距離を置いて、最近では農業にはげみ、日本の芸能人にはめずらしく、政治や社会問題に対して自分の意見をはっきりと表明していました。それと若手俳優たちの職業意識の低さや、CG映画に「映画ではない」と腹を立てていたそうです。(nifty NEWS参照)
だから俺にとっては、トラック野郎シリーズの映画を観ていたわけではないので、最近の文太さんの方が馴染みがあるし、注目もしていました。
政治批判や科学技術批判や文明批評など、必ずしもすべてうなづける意見ではありませんが、そういう人もいていいのではないでしょうか。それが文太さんであることに違和感はありません。
健さんと文太さんは同じくやくざ映画に出ていたからなのか、比べられることも多かったらしい。二人はお互い意識もしていたようで、競演したくなかった。それでも会社の方針だったのか競演作もあります。ただ質の違う二人の俳優の競演は難しかったろうなと思いますが。
でも、俺はこのふたりには共通項を感じます。健さんについては「まじめで不器用なアイドル」、「旅人のアイドル」と書きましたが(健さんの追悼番組の映画『あなたへ』&NHK 「プロフェッショナル 仕事の流儀」)、文太さんも「旅人のアイドル」です。
この「旅人のアイドル」というイメージは、文太さんのトラック野郎など、ロードムービーが頭にあるから、というほかに、健さん同様、アウトロー的な生き方にあるのは間違いありません。
アウトローには「旅」や「放浪」が似合うのです。そういう意味で、二人に加えて、ふうてんの寅さんもそうです。俺にとっては3大アイドルです。
でも「旅のアイドル」が成立するのは昭和という時代だったからなのではないか、ということも感じます。「旅」や「放浪」にあこがれを抱くのは昭和の人間だから、ではないかなと。感覚は時代とともに変わります。
でも正直であろうとすると、文太さんのような物言いになるのでしょうね。ちょっと過激な不満表明。そこまではできないと思う俺と、文太さんとの「格の違い」がここにあります。
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