ドラマ 『ホームランド』の拷問シーンはフィクションではなかったのか
衝撃的なニュースが飛び交っています。
アメリカのブッシュ前政権下で、対テロ活動のCIAが容疑者らに拷問をしていたというニュースです。
さっそく、鬼の首でも取ったと言わんばかりに、中国政府はアメリカの拷問を非難しましたが、噴飯ものですね。拷問をやっている両国が、お互いに非難しあう図というのは笑えます。
テレビドラマ『ホームランド』については、以前書きましたが(「気がかりなニュース シリア帰りの若者が欧州を脅かす」)、容疑者の拷問シーンも、「これはドラマだから」と思って観ていたのですが、実はフィクションではなかったということですね。
水攻めの拷問はずいぶんリアリティがあるなぁと思っていましたが、まったくこの通りだったのです。
『ホームランド』でも、拷問を受けて容疑者は口を割るのですが、その情報は正しかったり、嘘だったりします。結果的に「拷問は何の効果もなかった」という報告書通りなのです。
たとえば、俺がテロ活動の容疑者になって拷問を受けたとします。俺は苦痛には弱いので、けっきょく耐えられず「口を割る」でしょう。
でも、ここが問題です。もし俺がテロ活動に関わっていなかったらどうでしょうか?
情報は知らないので、俺は「嘘」を言うでしょう。つまり俺が本当にテロに関わっていなくても、なんでもいいから「口を割って」その場の苦痛を逃れようとするはずです。
拷問それ自体が非人道的ですが、テロに関わっていない(潔白)の人間に拷問するのは、まったく意味がありません。
報告書には「こうした手法で得られた虚偽の供述をたどった結果、テロ捜査が行き詰まることもあった。CIAが拷問などによって入手した情報は容疑者らの作り話か、すでに他方面から入っていた内容ばかりだった」(CNN 参照)という。
ブッシュ政権は、そんなあやふやな情報で、イラクを大量破壊兵器を保有するテロ支援国家と非難するなどして、戦争に突入しました。今の世界的なテロの頻発の原因のひとつがアメリカのこういう情報収集にあったとすると、本当に馬鹿らしく思えます。
それでも救いは、というか、アメリカは、こんな自国に不利になることでも(反米感情が高まるリスクを冒しても)、情報が出てくるというところは、まだマシだなと思います。
中国なんかはまったく出てこないし、もしかしたら、秘密保護法が施行された日本でも、こういった情報は出なくなってしまうかもしれません。他人ごとではない気がします。
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