東北お遍路(こころのみち)巡礼2015 (15) 宮城県石巻市雄勝町「玄昌石の里 波板」&牡鹿半島の「十八成浜白山神社」
宮城県石巻市雄勝町の「玄昌石の古里 波板」を訪ねました。
震災前の波板の写真を偶然撮っていたことがきっかけで、住民の伊藤さんと知り合い、写真集『花咲う』にも登場していただきました。
今、波板は「玄昌石の里」として復興をはかっています。波板地域交流センター(通称:ナミイタ・ラボ)もできました。この地域の復興を進める拠点になりそうです。
伊藤さんに玄昌石の採掘場所を案内してもらいました。ナミイタ・ラボから1kmほど山に入ったところです。
これは立派な産業遺産ですね。いや「遺産」ではなく、今も現役で、むしろこれから再出発を果たす「未来産業」といった方がいいかもしれません。
玄昌石は粘板岩で、天然スレートとも呼ばれます。硬く光沢があり、耐水、耐火性が高く、5mm~10mmの薄い板状にも加工できるので、東京駅の屋根材をはじめ、国内で数多くの建築に使われています。
中国貴州省に住むプイ族の民家やネパールのヒマラヤ山麓で見た民家も石造りで、屋根には天然スレートを使っていますが、もしかしたら同じ種類の石ではないでしょうか。
「何もないってことは、何でも作れるってことだから」
これがこの村のモットーらしいのですが、自然体であるところに共感を覚えます。
畑では野菜が採れる。海では魚が獲れる。冬には昆布が浜にやってくる。山には石があった。竹があった。それを利用しているだけ。
こんなふうに、自然に対して受身的に見えるほど「自然体」なのがこの集落の特徴ではないかと感じますが、このゆるい感じがまたいいのでしょうね。ここにいると妙に落ち着くのです。
だからナミイタ・ラボでは、そのうちカフェも始める計画もあると聞いたので、これからの波板に期待しています。
女川を経由して、牡鹿半島に向かいました。半島西側の海岸に十八成浜に「白山神社」があります。
東日本大震災で大きな被害を受けた十八成浜で、地域のシンボルとなっている白山神社の鳥居が今年、ボランティアの協力で再建されました。神社の建物は無事でしたが、石造りの鳥居は倒壊してしまったそうです。
震災時の十八成浜行政区の後藤正信区長は「神社は地域の守り神。5月3日の例祭に間に合うように、鳥居を建立できて良かった」と感謝しています。
訪ねた時、ちょうど社殿の中で、神輿をきれいにしていました。5月3日の祭りの準備です。この神輿は海に入るのだそうです。
「こんなに寒くて、海に入るんですか?」と聞くと「入るよ」という答え。
神輿を担いで川や海に入る祭りは他でもやっています。俺は秩父で見ました。皆野町親鼻の祇園(川瀬)祭です。神事のあと、男たちがかがり火の灯る川の中へ入って神輿を洗うのですが、迫力満点です。
時間があれば祭りのときにまた戻って来たいのですが、この巡礼の日程はまったくわかりません。いつものことですが。
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