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2015/06/20

デンマークのサスペンスドラマ 『THE KILLING/キリング』 シーズン2

150620

デンマークで総選挙が行われました。開票結果は野党陣営の勝利だそうです。

「デンマーク4年ぶり政権交代へ 総選挙で野党陣営勝利」(47NEWS)

ちょうど、『THE KILLING/キリング(原題:Forbrydelsen)』シーズン2を観終わったところです。デンマーク史上最高視聴率を取ったドラマの続編です。(今、シーズン3を観ています)

シーズン2は、まさしく「テロ法案」や「反移民政策」をめぐっての政府内のごたごたと、一連の殺人事件が同時進行していくサスペンスドラマです。

連続殺人は最初イスラム過激派の犯行だと思われますが・・・。「テロ法案」の成立を急がせたい勢力と、真実を突き止めたい勢力のせめぎあいもあります。

ドラマでは敵は意外なところにあったわけですが、現実世界では、フランスのパリで週刊新聞「シャルリー・エブド」が襲われたテロの後、今年2月、デンマークの首都コペンハーゲンでも風刺画をめぐってのテロが起きています。比較的「安全」というイメージの北欧でテロが起こったことは、ちょっと衝撃的なニュースでした。

もともと2005年にもデンマーク紙によるイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画掲載があって、中東などでは反デンマーク運動が広がっていたらしい。そういえばそんなニュースもありました。だからデンマーク人にとって、テロに対する危機意識は高いんですね。

正確な台詞の言い回しは忘れてしまいましたが、ドラマでは首相がこんな意味のことを言います。

 「テロの危機は待ったなしだ。だから国民を守るためには法律から外れた行動もしかたがない」

なんだか、どこかの国の総理大臣が言っていることを連想させます。

 「国民を守るために、憲法の解釈を変えてもしかたがない」

ドラマのラストはショックでした。真実を追究する中で首相とも対立を深めていく大臣が、最後に取った態度が、今のデンマーク人の気持ちを代弁しているのかなと。今回の選挙で移民排斥を唱える極右デンマーク国民党が躍進したそうで、結果的に、その方向を暗示するような内容になっていました。


ところで、主人公、刑事のルンドは、どことなく『ホームランド』の主人公、CIA捜査官キャリーを思わせます。

どちらも女性ですが、仕事熱心です。いや、熱心すぎるのです。

しかしこういう仕事に向いている人というのは、ある意味社会性が無い人でもあるかもしれません。自分の嗅覚で敵を追い詰めていく姿にはすさまじい執念と動物のような一途さを感じます。病的といっていいほど鼻が利きます。

これがかえって日常生活ではあだとなる。母親や息子からさえ疎まれてしまいます。社会生活には向かない人たちです。

でも、そこが共感できるところでもあるし、魅力的でもあります。この『キリング』が高視聴率をとったのも、主人公ルンドの「不器用な生き方」に負うところが大きいのかもしれません。

一方の、日本の刑事ドラマの、特に「美人刑事」のリアリティの無さ。俺たちが30年前の「素朴な視聴者」だったころなら許されるでしょうが。「こんな刑事いるわけない」というところから入ったドラマで、どうやって楽しめばいいと言うんでしょうか?
 
 
 
 
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