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2015/09/27

今日は「中秋の名月」。「東北お遍路フォーラム」での「死」の話との関係

150927_2(写真は昨日の十四日月)


いったん撮影旅の話は中断して、今日は「中秋の名月」(旧暦八月十五日)の話題です。昔は月を直接ではなく、杯や池に映して楽しむのが風流であったらしい。これって、「田毎の月」に通じるものがあるのでしょうか。

おととい「第4回 東北お遍路フォーラム」が仙台のメディアテークで行われました。

新しい巡礼地が9カ所発表され、お遍路マップがお披露目されました。こういうマップを見ると、「お遍路」としての「道」の様子が俯瞰できて、イメージしやすくなったのではないでしょうか。

基調講演は民俗学者、福島県立博物館館長の赤坂憲雄先生でした。

「震災と宗教」という重くて暗いテーマでした。いや、「重くて暗い」という表現自体が、俺を含めた今の日本人がこういった死に対するテーマを見ようとしない、避けようとしているということも意味しているのでしょうが。

たまたま昨日ラジオを聞いていたら、沖縄では戦争で亡くなった人の話とかはよくするそうで、「死」の話題もそれほど嫌われてはいないようです。

「命を大切に」などと子供たちに教育しても、「死」を見ないようにする「命」って何なのかなと思います。「命を大切に」ということがわかるためには「死」を意識しなければ。「死」が隠されているようなところで「命の大切さ」など説得力を持ちません。

先生は震災後の被災地を周りましたが、それは「巡礼」でもあったかもしれないというのが印象的でした。巡礼とは、人が鎮魂の思いで行動すると、そうなってしまうものかも、それを「型」にしたのが巡礼路と言えるのかもしれないなぁと感じました。

欧米からは「それは宗教ではない」とさげすまれてきましたが、たとえば、震災後「シシ踊り」などの芸能や祭りが復活したことを見て、日本人ほど宗教を大事にしている民族はいないのではないかと感じるようになったそうです。

「生きとし生きるもの、すべての生き物のために奉納する」という碑があるそうです。「命の思想」が語られているのではないかと先生は言います。東北の芸能、祭りは死者に対する鎮魂供養の意味があり、こんな大災害のときにこそ、やらなければならないものだったのです。

「死」が身近にあることを意識しながら暮らしてきたのが東北人であるようです。「死」が「暗い」とか「重い」などと言っているようではだめなんですね。

「暗さ」や「重さ」を消し去ってしまう、夜中でも煌々と照らされる都会の電力が東北で作られていたというのは、なんだか皮肉な話でもあります。

今日は久しぶりで「中秋の名月」を眺める人もいるでしょう。闇の中に立って、先祖や死者に思いをはせるいい機会でもあるかもしれません。

奇しくも死者・行方不明者63人に上った御嶽山の噴火から1年経った日でもあります。
 
 
 
 
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コメント

ひまわりさん

会場にいらっしゃっていたんですか?
東北人として、この「東北お遍路プロジェクト」に関わることは、自分自身も震災を忘れないようにするためにはいいことだと思っています。
始まったばかりのプロジェクトですが、これからみなさんの協力を得て、盛り上げていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

ところで先日、実家のある山形県河北町で、久しぶりで同級生に会ったとき、「お前、しばらく行方不明になってたよね?」といわれました。そうか、俺は行方不明だったんだと気がつきました。たぶんヨーロッパ放浪していたときのことだと思います。高校時代の関係者間ではそういう噂は出てなかったと思いますが。

投稿: あおやぎ | 2015/09/30 09:28

仙台で開催された東北お遍路フォーラム、私も参加させて頂きました。自分の生活が、いつもと変わりないものになってしまうと、いつの間にか震災のことを忘れがちになってしまいます。講演を聞き、そしてパネリストの皆さんのお話を聞いて、「寄り添う」ことの大切さを改めて感じました。流されて尚その「置かれた場所」で咲いた桜には号泣しました。
帰り際にご挨拶をと思ったのですが、お知り合いの方でしょうか、どなたかとお話をされていらっしゃいましたので、割愛させてもらいました。またいつかお会いする機会に恵まれましたら、その時にご挨拶させてもらいますね。

先輩、お変わりなくお元気そうで良かったです。

投稿: ひまわり | 2015/09/29 19:40

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