映画『ザ・ワーズ 盗まれた人生』を観て。「告白」の心身健康への影響
『ザ・ワーズ 盗まれた人生』は2012年公開のアメリカ映画です。
ストーリーは、
「作家としての成功を夢見ながらもなかなか芽が出ないローリー。妻のドラは、どんな時でも夫の才能を信じ見守っていた。ある時彼は新婚旅行先の骨董屋で、古いアタッシュケースを見つける。中に入っていたのは、一束の原稿。それは、彼が書きたいと切望してきた、読む者の人生観を変えてしまうような魅力的な作品だった。ローリーはつい出来心からその原稿を自分のものとして発表してしまうのだった。それはたちまちベストセラーとなり、ローリーに金と名声を与えた。作家としての知名度もうなぎのぼりになっていた頃、1人の老人と出会うのだった……。」(Yahoo!映画より)
最近「盗作」という言葉をよく聞くようになった気がします。「盲目の音楽家」や「東京五輪エンブレム」などもあったし。この映画も「盗作」をテーマにした映画です。
盗作をテーマにした映画はほかにもありましたが、これは構造が2重になっています。物語の中に物語が入っています。
でも、結果的に、外側の物語は、内側の物語とくっついてきます。そこがこの映画の真のテーマと関係するのでは?と思うのですが。
この構造と似たような映画は、トラと船で漂流した『ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日』。これも物語を話す人が外側の物語の主人公になっています。
『ザ・ワーズ 盗まれた人生』も『ライフ・オブ・パイ』も、語られる内側の物語自体が魅力的なので、全体の物語も面白いとなるわけですが、でも主人公の立場からみれば、別に内側の物語の内容はどうでもいいのです。いや人に興味を持ってもらうためには、もちろん面白い話にこしたことはないのですが。
「自己開示」あるいは「告白」、「他人に語る」ことが大切なわけです。映画のホントのテーマはここにあるのかもしれません。
ジェームズ・ペネベーカー著の『オープニングアップ:秘密の告白と心身の健康』という本があります。社会心理学の教科書に載っていたものです。
個人的な情報を打ち明ける「自己開示」やもっと内面を語る「告白」というものが、心身の健康や社会適応にいい影響を及ぼすという研究を扱った本です。
まぁ「自己開示」、「告白」が、精神衛生上いいというのは、経験からも感じていましたが、それが精神だけではなくて、身体的にもいい効果があるというのは驚きですが。
相手がいない、日記など、言語化するだけでも効果はあるようです。
だからブログでの自己開示も効果があるらしいですよ。相手が見えないからかえって本音を言えるることもあるかもしれません。ただ、社会に対する開かれた空間なので、危険な部分も当然あります。だからすべてを自己開示しないほうがいいでしょう。
似た言葉に「自己呈示」がありますが、こっちは自分を良く見せようとか(悪く見せようとか?)、意図的に語ることで、このブログは、正直言うと、「自己呈示」が強いかなぁと思います。なので、あまり心身の健康には役立っていないかもしれません。
ブログは「読んでもらう」のは二の次で、結局は自分のために書いているんでしょうね。
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