JAXAが閉鎖環境実験の一般参加者を募集中のニュース
こんなニュースがありました。
「2週間で38万円支給!JAXAが閉鎖環境実験の一般参加者を募集中、飛行士のストレス把握手法研究のため」
http://japanese.engadget.com/2015/12/27/2-38-jaxa/
「募集対象は20~55歳の健康な男性」なので、例外なしとすると、年齢制限でひっかかってしまうのでだめかもしれないですが、応募してみたいですね。
と、思ったら、すでに「受付終了しました」ですと。???
閉鎖環境で生きるという意味で、数年前こんな事故がありました。俺と妻とヴィーノの3人で車中泊で日本一周していたときです。
チリのサンホセ鉱山の落盤事故。地下700mの地下シェルターで作業員たちが生きていて、33人全員無事に救出されたというものでした。
救出されるまで3ヶ月、必要だったのは「希望」と良好な人間関係だったそうです。実際「エスペランサ(希望)」がキーワードになりました。
責任者の強いリーダーシップのもと団結していたらしい。それでなくても個性の強い作業員たちです。たぶん全員の意見を民主的に聞いていたら生き残れなかったかもしれません。やはり「アルファ」が必要なのだろうと思います。
ほとんどの哺乳動物は平和を維持するために進化した支配の序列をつくるらしい。自分の地位をわきまえれば争わずに済むというのです。
そこで、ボス(首位)は「アルファ」、第二位は「ベータ」といいます。
「閉鎖環境」とまではいきませんでしたが、濃密な閉鎖空間に近い車の中で、どのようにすれば争わずにすむのか、ストレスを減らせるのか、俺たちもある意味、「車中泊」でその実験をやっているようなものでした。
四六時中同じ車内で過ごすわけですからね。楽しいだけの旅ではありませんでした。時々喧嘩もしました。(だからやりがいがあったのですが)
「車中泊」という旅の常識が妻とふたりで共有できるようになると旅がスムーズになったという感じがします。
そしてもうひとつ、誰がボスになるか、ということも重要でした。つまり、この三頭(俺・妻・ヴィーノ)の群れの「アルファ」が決まらないと、群れは安定しないのです。船頭は一人でいいと言われますが、これは真理をついていることを肌身で理解しました。
ただし、俺たちの場合、いつも決まった誰かが「アルファ」であり続けるということではなくて、たとえば、食事を決めるときには妻が「アルファ」になり、目的地へ向かうルートを決めるときは俺が「アルファ」になるということなのです。
そういう暗黙のルールのようなものが、だんだん固まってくると、旅がしやすくなるというのがわかりました。
ただ、散歩をしているときは、ヴィーノが「アルファ」になっているように感じていましたが(今もそうですが)、これは「しつけがなっていない」ということなのでしょうか。(犬のしつけの本には、例外なく「飼い主がアルファにならなければならない」と書いてあるからです。でも、このことについては、あまりにも「欧米式しつけ」ではないかと俺は批判的ですが)
チリの落盤事故からも、俺たちの車中泊の「実験」からも、閉鎖環境においては「民主的」というのは意外と役に立たないものだというのがわかりました。「民主的」は理想かもしれません。でも、それは各人の意識が高く、冷静で、平和時に機能する価値観なのではないかとも感じたのです。非常時にはもろいのです。(犬に「民主的」を説いても無駄ですし)
以上、個人的な「実験」の感想なので、これが一般化できるかどうかはわかりませんよ。でもこれから長期の車中泊を考えている人がいれば参考になるかもしれません。この件は『妻と犬連れ日本一周、車中泊の旅』にも書いています。(すみません、宣伝させてもらいました)
とにかく、閉鎖環境での実験というは、拡大解釈すれば、地球という限りある空間にも通じるわけで、どんなふうにすれば人間が共存できるか?という意味では、相似形なのではないかなと思います。
将来の宇宙空間で生きる方法としてだけではなく、今、この地球上で生きる方法にも、何か新しい知見をもたらしたらおもしろいですね。
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