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2015/12/03

ミャンマー、前途多難な「スーチー教」

151203(パガンの仏塔)


ミャンマーに移住した写真家の後藤修身さんを囲んで友人たちといっしょに飲みました。

今回は先日増上寺で開催された「ミャンマー祭り2015」での写真展のための一時帰国です。3年前に移住してから初めての日本で、新宿界隈の道も少し忘れてしまっていたようです。

ミャンマーは今ビジネスでも熱い注目を浴びている国で、ヤンゴンの中心部の地価は日本と同じくらいに上がったところもあるそうです。総じて物価は上がっています。屋台で飲むコーヒーは1杯30円で、ちゃんとして店で飲むと300円。10倍の開きがあります。

そしてミャンマーといえば、この前の選挙結果です、気になるのは。

アウンサンスーチーさん率いるNLD(国民民主連盟)が過半数の議席数を獲得して、政権交代するようですが、前途多難だそうです。アウンサンスーチーさんは大統領にはなれませんが、NLDが政権をとったら、すべてがうまくいくと、多くの人が思い込んでいるらしいのです。

後藤さんは「スーチー教」と表現していましたが、一種の宗教のようだといいます。でも、政権を担った経験もなく、軍部と折り合いをつけながら政権運営するしかなく、すべてうまくいって、生活もすぐに豊かになるなどということはありえません。

そのとき、国民はどう感じるのか。期待が大きかったぶん、現実に直面したときのギャップを考えると恐ろしいものがあります。なにせ「スーチー教」なので。

社会心理学に『予言がはずれるとき』(レオン・フェスティンガー著)というのがあって、破滅を予言した新興宗教の教祖が、当然ですが、予言をはずしてしまうのですが、その後の信者の活動に興味深いものがあります。

浅い信仰の信者は、「なんだ、嘘だったのか」と覚めて去っていくのですが、熱心な信仰のコアな信者は、逆に、布教活動を活発化させるのだそうです。

自分が身も財産もささげた教団が、いまさら「嘘」だったとは思いたくなくて、信者は「この教団はすばらしい」と思うことで、自分の葛藤や矛盾を解消するらしいのです。(「認知的不協和理論」)

『予言がはずれるとき』とは違うと思いますが、もし「裏切られた」と感じた国民が多くなったときは、ちょっと怖いかなと思います。また混乱してしまうかもしれません。

それと国内の少数民族、イスラム教徒の問題ですね。スーチーさんは民主主義と人権回復のための非暴力の活動が評価されて、ノーベル平和賞を受けています。そんな「人権派」が、もし少数民族、イスラム教徒に対して弾圧的な行動をとってしまったら、今度は国際的な批判を受けてしまうでしょう。実際すでにイスラム系のロヒンギャの難民問題について迫害を黙殺していると批判されているようです。

とにかく、スーチーさんのこれからの政権の舵取りは難しいといわざるをえないでしょう。
 
 
 
 
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