ジオラマの魅力、クリスマスのときに飾る「プレゼピオ」と「箱庭療法」
カトリックの国イタリアでクリスマスツリーを飾るようになったのは、意外にも、第二次世界大戦末期のことで、しかも伝えたのはアメリカ兵だったそうです。
それまでカトリック教徒はツリーではなくて、イタリア発祥の「プレゼピオ」を飾っていました。
プレゼピオとは、イエス・キリストの誕生のシーンをテラコッタの人形で再現したミニチュアのジオラマのこと。(検索すれば画像がたくさん出てきます)
クリスマスは冬至祭が起源という話は前にも書きました。
ローマ帝国で信仰されていたミトラス教では、冬至を大々的に祝いましたが、それは太陽神ミトラスが再び生まれるというお祭りでした。(短くなった昼の時間が、今度は長くなっていく転換日が冬至)。
その太陽神の誕生日12月25日が、キリスト教が公認されてから「クリスマス」になったとの説が有力のようです。
ミトラス教神殿のベンチをプレゼピオと言い、それがクリスマス飾りのミニチュアを指す言葉となって残っています。
ところで、スイスでもクリスマスの時にはプレゼピオを飾っていたらしい。スイスでミニチュアを使う箱庭療法が生まれたのは偶然なのでしょうか。
箱庭療法とは、スイス人のドラ・カルフがユング心理学を基盤として発展させて確立した心理療法です。箱庭にミニチュアの人形や動物や建物や植物などを配置するもので、無意識に降りてゆき、心を癒すひとつの方法として取り入れられているものです。
日本でも、盆の上に石を置いて風景を作る「盆石遊び」など、伝統的に箱庭で遊ぶ文化があったので、箱庭療法が受け入れやすかったそうです。ちなみにノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士も子供のころ盆石遊びをしていました。
いまでも「ミニチュア(最近ではフィギュアという言い方が一般的になってきたようですが)で遊ぶ」というのが「癒し」になっているのでしょう。
ミニチュアを飾ったジオラマって魅力的なんですよね。この感覚は、棚田に立った時も同じように感じるのですが。各地を旅行して、博物館や資料館でジオラマを見かけると、つい写真を撮ってしまいます。
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