自然にはやさしいが、人間には厳しい太陽光発電
太陽光発電のパネルが設置されたことで、付近の住民が室温上昇や体調悪化を訴える裁判を起こしているところがあります。
自然エネルギーを使う方向としては賛成ですが、ただ前から気になっていた太陽光発電については、きっとこの問題は起こるだろうと思っていました。「景観」という点からひっかかるところがありました。
10年以上前、インドネシア・バリ島で聞いた話です。太陽光発電パネルではないのですが。
ウブドゥに新しいリゾートホテルが建ち始めた時です。そのホテルは棚田を見渡せる場所に作られました。棚田を売りにしたホテルです。
でも、農家の人たちが、農業用水をホテルに取られ、排水で汚されることもあり、自分たちにまったくメリットがないという不満をホテル側に訴えたそうです。ところがホテル側が無視したので、農家の人たちは対抗措置をとりました。
太陽の反射光がホテルに当たるように、棚田の中に反射板を設置したそうです。宿泊客からはまぶしい反射光にクレームが。当然ですね。たまりかねたホテル側が要求に応じ、和解したという話を聞きました。
反射光がいかに不快かということの1件です。だから今日本で問題になっている太陽光発電パネルの反射光も、その不快さは想像できます。健康を害するとなればもっと深刻です。
そしてなにより、写真を撮る立場から言わせてもらうと、1枚、2枚ならまだいいのですが、何十枚、何百枚ものパネルが見える風景、しかもその場所は都会ではなくて、原発同様、田舎に設置されるわけなので、目立ってしかたありません。
もし晴れた日に、何枚も並ぶパネルから太陽光が反射している風景を想像してみてください。山肌に並ぶパネルからの光がまぶしくて、田園風景は見づらくなるかもしれません。
こんな風景が人を癒すとはとても思えません。これなら田園風景の中の電線電柱の方がまだましです。(もっともこの不快な風景をあえて写真家が撮る意味はあると思いますが)
自然にはやさしいが人間には厳しい太陽光発電であっては、本末転倒ではないのでしょうか。
電力会社には、ちゃんと設置場所を考えてもらいたいですね。あるいは太陽光を反射しない(太陽光をすべて吸収するエネルギー変換効率100パーセントの)パネルを開発してもらいたいと思います。それができないなら、せめてデザイン的に、景観に溶け込むようにお願いできないでしょうか?
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