映画 『鑑定士と顔のない依頼人』 を観て 【ネタバレ注意】
ジョン・エヴァリット・ミレイ 『あひるの子』 1889年 国立西洋美術館
2013年のイタリアの恋愛・ミステリ映画 『鑑定士と顔のない依頼人』 を観ました。
公式HPはこちら。
【ネタバレ注意】
簡単に言うと、優秀な美術鑑定士が、女性だけは、鑑定できなかったということですね。ある意味、教訓的な映画です。
ミステリ映画なので、鑑定士のヴァージルが、広場恐怖症で長年引きこもっていた美しい依頼人クレアと、結婚して幸せなになるなどという結末にはならないだろうことは予想できました。
自分の最後の仕事から戻ったら、自慢のコレクションの絵やクレアが消えていて、騙されていたのかと悟ります。
その首謀者は、どうもビリーという、友人の画家だったらしいのですが。
ここでもビリーの本心を鑑定できませんでした。つまり、美術品に関しては優秀な鑑定眼を持っていたヴァージルは、クレアという女性だけではなく、人間に関してはまったくダメだったというオチです。
ところで、映画の中で、「贋作にも真理はある」とか「偽物にも真実はある」とかいったセリフが出てきたと思いますが、そうですね。同感です。
最近は、今までのような「贋作=偽物=悪い(価値がない)」という方程式は成り立たなくなっているようです。
1990年に大英博物館が、偽物だけを集めた『フェイク』という展示をしたそうです。
贋作を「偽物」と一言ではくくらず、文化のひとつの表現物ととらえ、贋作にも真理があるということを再評価したということですが、これも時代でしょうね。
「本物」を「良し」とする鑑定士(権威者)そのものが、常識の枠から抜け出せない人間の心理を象徴しているのかもしれません。
この映画に小気味よさを感じるのは、権威者というものが、本当に物事の真理を見抜いているかと言えば、そんなことはないんだなというところなのです。
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