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2016/04/08

36年前、スイスで出会ったドイツ人家族

160408(スイス・マッターホルンと月 1980年夏の夕暮れ)


先日一通のメールが届きました。件名も文面も英文なので、迷惑メールのフィルターをすり抜けてきた怪しいメールだと思って削除しようとしたとき、最初の「Dear Kenji,」というのが目に入り、あらためてメールを見直してみると、なんと36年前の知人からのメールでした。

そのドイツ人家族とはスイスのマッターホルンで出会ったのでした。いい天気で、マッターホルンの山頂も青空をバックにくっきりと見えていたのをはっきり覚えています。

その後、記念写真を送ったりして、お互い文通を何度かしたと思いますが、そのうち、手紙も出さなくなり、いつのまにか連絡先もわからなくなりました。

今までも、スペインでローマ時代の遺跡発掘のボランティアで知り合ったスペイン人とか、雲南省で出会った日本人学生(現在は大学の先生)とか、何度かこういった突然の再会を果たす経験があったのですが、そのたびに思うのは、ネットのすごさということです。

名前だけで探し出せる世の中になったというのは驚きです。もちろん俺の場合は、プロフィールも公開しているし、HPも多いので、探されやすいということはあるかもしれません。(でも当時写真家になるなどとは言ってなかったですが)

一般的には、同姓同名もたくさんいるので、そこから特定するのはそんなに簡単ではないかもしれません。

実際、昔中国で出会ったドイツ人(カメラマン志望者)を探そうとしたことがありましたが、同姓同名らしい人物がたくさん出てきて、顔写真でも載っていないかぎり、アドレスもなく、本人なのかどうなのか確かめようがありません。だから条件によってはそんなに簡単ではないかもしれませんが。

そのドイツ人家族の当時14歳だった女の子は、結婚して娘さんもいるそうで、その娘さんが俺が昔出したポストカードを見つけたらしいのです。それで思い出して俺を探したらしいのですが、簡単に見つかったと書いています。英文のプロフィールにも、出会った年にヨーロッパ旅行していることは書いていたと思うので、それから確認できたのでしょう。

とつぜん36年前にタイムスリップした感じ。36年間思い出さなかったことが、ちゃんと思い出せるって、考えてみれば、記憶というのはすごいですね。この記憶のことは自分のことに関する「自伝的記憶」といいます。

そういえば、妻も20代のころはよく思い出せると言っていて、俺もドイツ人家族のことはすぐに思出せましたが、若いころというのは良く思い出せるものらしい。

これは確か心理学の教科書にも載っていたなぁと思ったので、調べ直してみると、「レミニセンス・バンブ」というらしい。「レミニセンス」とは「追想」で、「バンブ」とは「盛り上がったところ」という意味。

高齢者に過去の体験を思い出してもらうと、10~20代にかけてのことが比較的よく思い出せるというものです。この「よく思い出せる」」という部分の盛り上がった曲線のことです。

どうしてか?というと、この時期は初めての体験が多くて記憶に残りやすく、また人生で重要な出来事が集中していて脳が活性化しているからではないか、という説が有力らしい。

最初の海外旅行はやっぱりインパクトありました。たくさんのことを覚えているし、ドイツ人家族と同じように、きっかけがあれば思い出せるような気がします。

多感な時期に外国旅行していたことが、人生の「核」になっているのを感じます。自分では良かったと思います。
 
 
 
 
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