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2016/04/29

「モンスターボランティア」、被災者にとっての2次災害

160429


GWに被災地へ殺到する「モンスターボランティア」
(NIFTY NEWS http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/dot-2016042600035/1.htm)

「ボランティアが人助けになる」という単純な思い込みは、ある意味、善意の押し売りにもなりかねません。

「ボランティア」を錦の御旗に掲げ、偉いこと、すばらしいことをやっていると思い込んでいる「モンスターボランティア」が大挙して熊本などの被災地に殺到することは、被災者にとっては2次災害というものです。

「メサイア・コンプレックス」と言われますが、「力を持った者=ボランティア」対「力のない者=被災者」の構図ができてしまいます。いくら「人のために」と崇高な目的を持っていても、この構図から抜け出すのは難しいのです。モンスターボランティアは、ここに気が付いていない人たちです。無意識にかもしれませんが「力の行使」を楽しんでいる人たちです。

賢い人なら「あえて今は行かない」という選択肢も考えていいかもしれません。「なにかしたい」という気持ちはわかりますが、今の段階では、ぐっとそれをこらえる、それは被災地に迷惑をかけない一番賢い行動かもしれません。

仮に出かけてしまって、現場に着いて仕事がなかったとしたら「良かった」と言ってすぐに観光に切り替え、観光地でお金を使ってくることですね。ボランティアは、あなたでなければできないことは、たぶん無いです。あなたの代わりはたくさんいます。でも、観光は、ひとりでもたくさん来てもらったほうがありがたいのです。

あなたではなく、被災者の視点で行動するのが、ボランティア精神でしょう。あなたの思いより被災者の気持ちが大切だということです。観光地でお金を使うのも、りっぱな人助けです。

もちろんほとんどのボランティアの人は、「モンスター」ではないと思いますが。


なお、これから書くことはボランティアについての俺の考えなので、一般論ではないことを前もって断っておきます。

まず、俺は基本的に、ボランティアは好きではありません。他人の視点で行動するのがボランティアなのです。

でも、やっている活動が結果としてボランティアになることはよくあります。そしてそれで喜んでもらえたら、嬉しいことも事実です。

何をやるか決めるのは、興味があるかないかというだけです。

興味をもってやったことが、たまたま「お金」がもらえない活動だとすると、それが結果として「ボランティア」になるわけです。

ただ、災害や事故があった時などは別です。目の前の人を助けようとすることは「好き嫌い」は関係なく、みんな持っている本能でしょう。

俺の場合、災害や事故以外は、ボランティアは自分のためにやっていると言った方がいいでしょう。自分の体験、人生勉強、満足感、達成感、高揚感、感動といったものが、活動による「報酬」だと考えています。だから俺は無償でボランティアをやっているつもりはないのです。

ボランティアをやる人は目に見えない報酬を受け取っています。それはもしかしたら「お金」というものには比べようもない、もっと大きな報酬である可能性が高いのです。お金には換算できないほどすばらしい報酬です。

そんな大きな報酬を受けながら、さらに、感謝すべきだなどと言うのは、あつかまし過ぎます。もちろん感謝の言葉は、ボーナスみたいなものなので、もらったらありがたいし、嬉しいですが。それを「要らない」とはいいませんよ、俺だって。無給のボランティア活動だと思ったら、あとで、お金を払ってくれたケースもありましたが、そんなときはもちろんありがたくもらいます。

だから、やった活動に対して見返りが欲しいなら、ちゃんと初めからビジネスでやればいいんです。「お金をもらわないから立派だ」などと考えているようなら、ボランティアはやらない方がいいです。

それと俺は「対等」にこだわっています。例えば、俺が逆にボランティアに助けられるとき、ボランティアの人に、卑屈になったりするのは嫌じゃないですか。自分が困っているとき、さらにボランティアに気を使うなんて絶対嫌です。それを想像するからです。

どちらかが助ける、助けられる、という形は単なる見かけです。利益という点で見たら、双方が利益を得ているのです。Win-Wiの関係になる、対等なのが、一番気持ちの良いボランティア活動ではないかなと思います。

東日本大震災の時に、被災ペットのボランティアをやったのは、犬は感謝もしないし、苦情も言いません。一方の俺も犬に見返りを求めたりしません。言ってみればこれは究極の「対等」な関係でした。

そんなわかったようなことを言っている俺ですが、なかなか難しいのですが、実際は。

一番厄介なのは、ビジネスとボランティアの混在する現場です。たとえば俺の場合、写真を無料で貸してほしいなど、ビジネス目的のところから頼まれた場合なんかですね。あなたはボランティア活動でやっているんだから、写真だって全部無料でいいじゃないか、みたいな雰囲気を醸し出されたときは、正直困ってしまいます。俺はへそ曲がりなので、そんなときは、急にビジネスにシフトすることがあります。
 
 
 
 
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コメント

ヒルズさん

 コメントありがとうございます。

 たいていのボランティアは、「モンスター」ではないと思いますが、実際は、いますね。
 と、言う私も、被災者から見たらそうなっていた可能性もあります。
 ボランティアは、被災者視点を持てるかどうかだと思うので、ただ「何かやりたい」という衝動だけでやるのは、やはり迷惑になってしまうのかなぁと思います。

投稿: あおやぎ | 2016/05/06 08:26

初めまして。私は東日本大震災で被災しました。モンスターボランティア…本当にその通り。自己満足やNPOなどの活動報告だけのために入られる方、善意の押し売りの方もとても多かったです。忘れないで下さい、あなた方のボランティアのアテンドをしてくれてる人も被災してることを…。

投稿: ヒルズ | 2016/05/05 02:16

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