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2016/05/30

2016年初夏の撮影旅(03) 【犬狼物語 其の二十一】 福島県須賀川市 十念寺 代参犬シロの犬塚

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NHKで放送された『リトル・チャロ~東北編~』は100年前の東北地方を、チャロという名前の子犬が、さまざまな人や妖怪に出会いながら旅するアニメです。第6話『人のために』は須賀川が舞台でした。

須賀川の代参犬「シロ」をモデルにしたストーリーだそうです。これで「シロ」の存在がもっと知られるようになったわけですね。

その代参犬「シロ」とは、今まで何度か書いてきた、主人の代わりに伊勢参りをした犬のことですが、須賀川市十念寺にはシロの犬塚が残っています。

東日本大震災の爪痕も生々しい数多くの墓石が倒れたままになっている十念寺にあります。参拝客用の駐車場からすぐ見えました。

あれが犬の像か。想像よりも小さい像で、ちょうどヴィーノと同じ、長さが60cmくらいでしょうか。でもあとで、「シロ」は秋田犬だったことが判明しました。

犬と言われれば犬ですが、一見すると赤ちゃんが床にはいつくばっているふうにも見えます。後ろの方に回り込むと、足と尾が犬らしい。おそらく耳は壊れてしまったので顔の部分がのっぺりしたふうになってしまったのでしょう。

風雪にさらされて、今のような形になりましたが、そこに長い歴史を感じることができます。

犬塚の台座の右側にはこうありました。

「寛政のころ、市原貞右衛門綱稠の飼い犬が主人の命を受け、伊勢参りに行った」

それと台座の後ろ側には、

「昭和44年秋彼岸」

とあります。台座は昭和44年ですが、犬の像じたいの年代はいつなのでしょうか? 

お寺の人に博物館になら資料があるのでは?と教えられ、寺から600mほどのところにある須賀川市立博物館を訪ねました。

職員の女性が親切に資料を探してくれて、『郷土 須賀川 / 須賀川市史 別巻』に〈お伊勢参りをした忠犬〉という項目を見つけました。結局これにも犬の像の年代は書かれていませんでしたが、だいたい210年ほど前の話になるのではないでしょうか。

〈お伊勢参りをした忠犬〉によると、

白毛の「シロ」は、人間の言葉がわかって、買い物をしたり、手紙を書いて箱に入れて首に結わいてやると、ちゃんと返事をもらってくるという利口な犬で、町中の評判でした。

市原家では、毎年伊勢神宮に、主人が欠かさず参拝するならわしになっていましたが、ある年主人が病気になってしまい、みんなで相談して、このシロを代わりにお参りさせることにしました。

2ヶ月後、シロが無事帰ってきました。”主人に代わってお伊勢参りをした忠犬”ということで、町の大評判となって、みんなに可愛がられていましたが、3年目に病気で死んでしまったそうです。

それで市原家ではシロの像をつくり、市原家の墓所に祀っていましたが、今は、不動堂のすぐ裏に移されています。
 
 
 
 
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