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2016/06/17

2016年初夏の撮影旅(21) 山形県米沢市田沢地区 「草木塔」の現代的な意味

160617_2「道の駅 田沢なごみの郷」の平成9年に建立された草木塔)

160616_2(道の駅でもらった田沢地区にある草木塔の地図)


今回の撮影旅の直前、偶然ですが、長野浩典著『生類供養と日本人』という本を読んでいました。

この中には、クジラ、ウミガメ、サカナ、イノシシ、クマ、ウシ、ウマなど、それともちろんイヌの供養塔について書いてあります。

どうして生類(動物)の供養塔を建てるのか、供養塔とは日本人にとってどんな意味があるのか、日本と西洋の生類(動物)に関しての考え方の違いなど、いろいろと面白い本です。

供養塔については、

「生類を供養する意味は、その生命を絶っていただくことについての罪悪感を消去することにある。と同時に生類の「タタリ」を恐れ、それを「鎮める」という意味合いも大きかった。」

「もうひとつ、輪廻転生という、仏教的観念の精神への浸透も生類供養という習俗を拡散させた。」

とあります。

そして草木供養塔についても書いてありました。

「当初は仏教思想にそって、草木を供養するという意味で建てられたものが、現在では「花々や木々に感謝する」「草木を大切にして環境を守りましょう」というような意味に変化してきているという。」

それで今回、福島県から山形県に入った時、国道121号線にある「道の駅 田沢なごみの郷」に偶然トイレ休憩で立ち寄ったのですが、観光案内板に「草木塔」を見つけたのです。

この道は昔から何度も行き来していますが、途中の米沢市田沢地区が、草木塔の密集した地域だと知ったのは今回が初めてでした。

道の駅のスタッフに聞いてみると、草木塔の場所を示した地図をくれました。

道の駅にも1基あります。それが上に掲載した高さ4.2mの平成9年に建立された草木塔です。

解説文には、最後の方に、

「この草木塔は草木塔の持つ自然保護環境保全の思想を全国に向け発信するシンボルとして建立したものです。」

と、あります。現代的な意味付けがなされているようです。

ただ、ほかの塔は道沿いに少なく、探さないとわからないところにあるらしいので、今回はあきらめます。いずれ探してみたいと思いました。

帰宅後調べてみると、この草木塔について研究されていることがわかりました。

やまがた草木塔ネットワークのHPによると、

「草木塔(そうもくとう)とは、「草木塔」、「草木供養塔」、「草木供養経」、「山川草木悉皆成仏」などという碑文が刻まれている塔です。・ ・ ・(略)・ ・ ・国内に160基以上の存在が確認されていますが、建立されている地域は本州の一部に限局しております。さらに草木塔の約9割は山形県内に分布し、4つの地方に分かれる山形県内でも、特に、置賜地方と呼ばれる地域に集中して存在する独特な石造物文化遺産です。」

とあります。

動物、植物、岩、山、洞窟、川など、日本人の生物、無生物にかかわらず、すべてのものに霊が宿るという観念は、日本人のアニミズムの痕跡だそうです。

そして面白いと思うのは、これだけ「近代化」した日本なのに、そういった霊的なものが宿るところは、現在「パワースポット」という新しい言葉とともに形を変えて信仰されています。
 
 
 
 
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