日本人がテロのターゲットになってしまうこと
報道ステーションで、チュニジアでのテロに巻き込まれた日本人女性の旦那さんがインタビューに答えていました。
旦那さんも現場にいましたが助かったようで、奥さんの亡骸を3時間も抱きかかえていたそうです。
そして気になることを言っていました。テロ実行犯は、「Are You Japanese?」と聞いていたそうです。日本人であるのを確かめていたのでしょうか。旦那さんに直接聞いたのかどうか、インタビューからはわかりませんでしたが、旦那さんは「日本人をターゲットにしているのがその時わかった」と証言しています。
そして日本人をターゲットにしたテロが起こるようになったのは、カイロで安倍首相が有志連合に追加援助をすると演説したことと関係があると思っているようでした。
帰国してから外務省に、もっといろんな外国が危険であることを強調すべきだと提案したそうですが、無視されました。そして今回のバングラディッシュのテロは起こるべくして起こったと言っています。
たぶん安倍政権は、なるべくテロの脅威を少なく見積もりたいのでしょう。有志連合に協力したから、日本人がターゲットになったという関係性を否定したいのだと思います。でないと、今の外交政策が批判されるからです。
でも、日本人がターゲットになるのは、これだけではないように感じます。
ダッカで犠牲になったJICA関連の犠牲者を悪く言うつもりはないのですが、彼らの死を今後の教訓にしなければ、彼らも浮かばれないと思うので、あえて言います。
報道では、「バングラディッシュのために働いていて、なんの落ち度もない人たちが狙われた」と言っていますが、なんの落ち度もなかったのでしょうか?
危ないことはさんざん言われていたはずなのに、しかもみんな海外滞在のプロなのに、どうして一番危ない日に外国人が行く高級店で食事をしていたのでしょうか。そこが俺にはわかりません。すでに「日本人」を狙った事件も去年起きていたのに。
少なくとも俺ならラマダン明け近くの金曜日に、ああいった現地では高級店で食事はしないでしょうね。酒はどうだったのでしょうか。飲んでいたのかもしれません。
犯行グループは、外国人を探し回っていたようです。ほかの店にも行ったらしく、そこに外国人がいなかったので、ホーリー・アルティザン・ベーカリーに来たようです。
そこに7人の日本人がいた。7人の集団は目立ちます。「日本人」とすぐにばれます。しかもほかにイタリア人もいたわけで、ここでやるぞとすぐに決まったのでしょう。
「私は日本人です。撃たないで」と言ったそうですが、ここから想像できるのは「日本人なら安全だ」という考えがあった証拠でしょう。「日本人がターゲットになるはずがない」という過信でした。この過信は、テロリスト側の立場から見る目を持たなければわかりません。
この7人の日本人がバングラディッシュのために働いているかどうかなんて、見た目ではわからないし、興味もないでしょう。彼らに見えているのは、外国人(異教徒)かどうかだけです。しかも個人個人に恨みがあるわけではありません。「異教徒」というカテゴリーに含まれてしまうと、個人の顔は見えなくなります。(だから殺せるんでしょうが)
日本の報道では、「これだけバングラディッシュのためにやっているのに、なぜ?」というコメントが多いことからも、日本人がバングラディッシュに「いいことをしている」と日本人はみんな信じているようです。もちろん一面ではそうでも、一面ではそうではないかもしれないことは想像しなければならないと思います。
一部の人間には、もしかしたら、むしろ「おせっかい」と映っているのかも、「経済成長」=「幸福」という欧米式方程式は通じないのかも、たとえ「国に良いこと」であっても「上から目線」に感じて癪に障るのかも、その援助によって庶民ではなく、権力者や富裕層の私腹を肥やす温床になっていると思っているのかも、と。わかりませんよ、どう感じているのか俺も。
ただ、価値観の違いを想像しないと、援助も、単なる「親切の押し売り」になってしまう危険性はあるのでは、と思っているだけです。
それと、今回のテロリストの中に、去年の日本人殺害にも関与していた犯人カイルル・イスラム容疑者がいたらしい。日本人をターゲットにしているグループがいるということがこれで確実になりました。
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