2016年秋の撮影旅(09) 【犬狼物語 其の四十八】 三重県伊勢市 おかげ犬
「おかげ犬」とは、お伊勢参りをした犬のことで、江戸時代にはけっこうな数の犬が、飼い主の代わりにお伊勢参りをしたという話が伝わっています。
犬がひとりでやってきて、飼い主のもとに帰って行ったという話です。「そんなバカな」と俺も最初は思ったのです。きっとフィクションだろうと。
でも、調べてみると、どうもこういう犬がいたことは事実だったようなのです。もちろん犬の意志ではありませんが。そのことについては、以前の記事に詳しく書いているので、こちらでどうぞ。
犬がお伊勢参りをした話は本当か? 仁科邦男著 『犬の伊勢参り』
また、谷口研語著『犬の日本史』によると、
「お伊勢参り犬の話は、幕末の多くの書物に書かれており、名札などの遺物もあちこちにのこされているようである。『耳囊』には安芸(広島県)から伊勢参宮をした豚の話までおさめられているが、「犬に伊勢参宮のこと毎々聞きおよびしが、豚の参宮は珍しきことと、ここに記す」とある。」
豚のお伊勢参りまであったというのは驚きですが、犬の伊勢参りは珍しくなかったというのも、現代人には驚きです。
さて今回は、飼い主(俺)といっしょにやってきたヴィーノなので、代参犬の「おかげ犬」とは言えないかもしれません。
守衛さんに確かめたところ、鳥居手前までは犬もOKというので、とりあえず、外宮と内宮の鳥居手前広場でヴィーノの記念写真を撮りました。
どうして江戸時代は犬も参拝が許されていたのに、今はダメなのでしょうか? いや、江戸時代も犬が宮城内に入ることは許されていませんでした。なぜか、「おかげ犬」だけは許された、ということなのでしょうか。そのあたり、まだよくわかりません。
ヴィーノは車に残し、俺はヴィーノの代わりにお参りしました。俺がヴィーノの代参です。ここでも主従逆転です。
こちらWikiに「おかげ犬」の絵があります。歌川広重「伊勢参宮・宮川の渡し」です。
絵の左下にしめ縄をした白い犬が描かれていますが、これが「おかげ犬」です。
玉砂利を踏む音を聞きながら杜の中を進んでいきます。まだ早い時間帯ということもありましたが、厳かな気持ちになって、魂が引き締まります。
内宮を出たところにはあの「赤福」の本店もあるおかげ横丁が続いていますが、ここは「招き猫」など、猫の存在感が大きいところで、おかげ犬関連グッズを販売しているのは俺の知る限り2店舗だけのようでした。
そこで、「おかげ犬」の人形と、おかげ犬をデザインしたポーチを購入。
外宮の近くには「柄杓童子」の像がありました。おかげ犬関連の像といったらこれくらいでしょうか。(以前、おかげ横丁に犬の像もあったという話も聞きましたが。「おさん」という名の犬だったという)
「古来より、神宮参詣は人々の憧れでしたが、実際にお詣りができないひとたちの願いを叶えたのが、犬の代参でした。柄杓を背にした犬が、たくさんの善意に守られながら道中を続けたといいます。犬に跨っている童子は、優しい心の象徴です。藪内佐斗司」
とあります。
また通りを渡った商店では「おかげ犬サブレ」を販売していました。
伊勢神宮で「おかげ犬」の存在が薄いのは、これを大々的に認めてしまうと、犬連れの参拝客を受け入れざるを得なくなるから、などと、邪推するヴィーノでした。
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