【犬狼物語 其の七十七〜七十八】 滋賀県大津市「蓮如の義犬塚」と草津市「忠犬妙雪の碑」
蓮如の義犬塚は、滋賀県大津市の大津赤十字病院の通りにあります。
塚は道路から1.5mほど高い位置にあり、石碑と大きな欅の木が立っています。
これは、「犬塚の欅(けやき)」として市の天然記念物に指定されています。
大津市教育委員会の解説看板にはこうあります。
「欅はニレ科、ケヤキ属の落葉喬木で、山地に自生していますが、人家の周辺に移植されて大樹となることが、しばしばあります。
犬塚の欅は、老大樹として注目をとどめるだけでなく、この樹にまつわる伝説についても有名です。
それは、京都から大津へ難を逃れてやってきた蓮如上人が、上人の人気を心よく思わなかった他宗の門徒によって毒殺されようとしたときに、忠犬が身代わりとなって死んだので、この犬を埋めた塚に、欅を植えて弔ったというお話です。」
蓮如を救った犬の話のもう少し詳しい内容は、「ワン旅 Vol.4 蓮如上人の命を救ったわんこの義犬塚」のHPにありました。引用させてもらうと、
「比叡山延暦寺側の攻撃(延暦寺側にも理由はあります)により東山大谷の本願寺を追われた蓮如上人は近江の国を転々した後、大津の顕正寺(本願寺近松別院/大津赤十字病院東側に立地)に滞在していました。
他宗門の人が毒殺をくわだてたときに、いつもは庭で元気に遊んでいる蓮如上人の愛犬が、なぜかそばを離れようとせず、食事をとろうとした瞬間に食膳をひっくりかえし、あろうことか蓮如上人の御飯を食べてしまったそうです。するとまもなく血を吐いて愛犬は死んでしまいました。
食事に毒が盛られていたことを知った蓮如上人は愛犬を手厚く葬ったという伝説です。」
とのことです。
また、草津市の眞教寺には「忠犬妙雪の碑」があります。
明治32年11月23日の夜半、寺に拾われた犬の「白(しろ)」が、普段と違って吠えるので、何事かと思って出てみましたが妖しい者はいません。でも、犬は本堂正面で前足をかけて鳴くために、本堂を開けてみると、煙が立ち込め燃えていたので、驚いて消し止めました。
この碑は昭和7年1月、「白」の三十三回忌に、寺の火事を知らせ大事に至らなかったことに感謝して、住職が「白」のために建てたものです。
「妙雪」とは「白」の法名だったようです。
いろんな忠犬がいますね。
火事を発見した犬ということを聞くと、北海道小樽市の消防犬「ぶん公」や、東京都の回向院に葬られている「は組新吉の愛犬ハチ」とかを思い浮かべます。どちらも火事を知らせたという話は伝わってないようですが、犬の能力として、嗅覚は火事と関係があると思われます。
俺はヴィーノの嗅覚のすごさにはいつも感心しています。北海道のエゾシカ、日光のサルなど、まだ肉眼では見えない距離であっても、匂いでわかるらしく、そわそわし、吠えだします。
眞教寺の「白」も煙の臭いで、異変を感じ取り、住職に教えようとしたのでしょう。
犬は鋭い感覚を研ぎ澄まし、危険を察知しいち速く人間に教えてくれます。一方、人間は、将来の計画を立てたりすることができます。
人間と犬がいっしょに暮らし始め、得意分野で仕事を分担し、お互いがお互いを必要とする仲間になったわけです。
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