【犬狼物語 其の九十七】 東京都立川市 南極・北極科学館 カラフト犬の像
静岡県から自宅に戻る途中、立川市の国立極地研究所、南極・北極科学館のカラフト犬のブロンズ像を訪ねました。
昭和34年(1959)に、15頭をイメージしたモニュメントが彫刻家安藤士氏によって製作され、東京タワーに設置されましたが、東京タワー周辺の整備事業にともなって撤去されることになり、日本動物愛護協会から寄贈をうけて、平成25年秋にここに移設されました。
第3次南極観測の際、タロとジロの生存を確認した第1次隊の犬係だった北村泰一氏の次の言葉を参考にして配置されているそうです。(北村さんたち犬係については以前の記事でどうそ)
「残されたカラフト犬たちの脳裏に故郷北海道の懐かしい風景が浮かんだと思うのです」
故郷を思う15頭の犬たちの姿なんですね。
悲しそうに遠吠えしているような姿の像もあります。2頭が体をくっつけて寝ている像もあります。北海道の夢でも見ているのでしょうか。夢を見ている間は北海道に帰ることができます。
犬も夢を見ます。ヴィーノもよく夢を見て寝言(寝鳴き)を言っています。何かおいしそうなものを食べている夢なのか、草原を走りまわっている夢なのか。
犬は匂いで周りの風景を「見ている」といわれているので、北海道の牧草や牛や馬や草花の匂いを懐かしく思っていたのかもしれません。とくに南極大陸という雪に閉ざされたところに残された身では。
ところで展示物の中には、カラフト犬の越冬についても解説がありましたが、1998年、環境保護のため犬は持ち込み禁止になったそうです。
なので日本隊の最後のカラフト犬は「ホセ」という名前のカラフト犬になりました。
ちなみに年表を見ると、第4次隊のときには、「ハチ」という名前のカラフト犬がいました。他の犬と越冬しています。ジロも越冬しましたが、途中病死で亡くなりました。タロは帰国し、1970年まで生きました。14歳で老衰だったそうです。数奇な運命を生きた犬でした。
老衰ということは犬の天寿を全うしたことでもあり、やはりタロは南極で生き抜いた通り、生命力は強かったといえるのではないでしょうか。
犬係であった北村さんたちも、それを無意識で感じていたからこそ、北村さんは2頭の犬が南極大陸を走っている夢を見たのだろうし、また菊池徹さんは、弔辞の中でタロとジロの名前だけ度忘れした(言いたくなかった)ということも起こったのでしょう。
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