獣医史学会理事長の小佐々学さんの話
『犬狼物語』の執筆は、あと10日間くらいで完成の予定です。
執筆と並行して、写真使用許可をもらうために各像のところに連絡していますが、長崎県大村市の「義犬華丸(はなまる)」の本経寺に連絡したら、寺としてはOKだけど、像を建てた「大村藩士小佐々氏子孫の会」に許可を取ってほしいということで、この代表の方に連絡を取りました。
そしたら、なんと、小佐々学先生が代表だったのです。犬像を調べている中で、獣医史学会理事長の小佐々学先生の名前は知っていたのですが、華丸像を造った本人とはびっくりしました。
先生は、全国の犬の像、墓碑、供養碑など100カ所以上も調べて、江戸時代からの動物愛護や、動物福祉について研究されている方です。
しかも、中浦ジュリアンの末裔でもありました。中浦ジュリアンとは、天正遣欧少年使節で、ローマ教皇・グレゴリウス13世と謁見しに行った4人のうちのひとりです。ただ、ジュリアンだけは高熱のために公式の謁見式には臨めなかったそうですが。
中浦ジュリアンについては、数年前、日本一周をしているとき、たまたま長崎県の資料館へ立ち寄っていたのでした。ヴィーノの記念写真もそこで撮っています。
なんだか縁があるなぁと思いながら、浦和の写真展会場に来ていただいたので、いろいろと話をしました。「こういう(犬像)話題で話ができる人は珍しい」と言われました。
先生の話で共感できるところは、とくに、犬を初めとして、動物や、自然に対する西洋と日本の考え方の違いです。
人間は「神の最高の目的たる被造物」と考える欧米人は、動物は人間が管理し、しつけなければならないものです。でも日本では「生きとし生けるもの、命に上下はない」、動物も人間と対等で、家族・仲間として扱われていたということなのです。現代日本人にも受け継がれているのではないでしょうか。
だから欧米人には、「日本人は、動物に対して甘い」というふうに映るのも、そこに原因があるようです。
でも、その感覚はけっして「悪いこと」ではないかもしれません。いや、これからはそういう考えこそ、動物愛護の精神に繋がるかもしれないのです。
ヒューマン・アニマル・ボンドとは「人と動物の絆」のことで、最近の研究によって「人と動物とのふれあいが、人と動物双方に精神的・身体的にいい効果をもたらす」ということが示されています。これからの犬(動物)との関係を考える上での新しい視点になるようです。
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