2017年の「鳥」と2018年の「犬」が合体したような「羽犬」像
2017年は酉(鳥)年ですが、2018年は戌(犬)年です。
福岡県筑後市には、「羽犬」像があることはすでに【犬狼物語】でも紹介しました。
羽犬とは、2017年の「鳥」と、2018年の「犬」が合体したような翼を持った犬ですが、これには伝説がふたつあって、ひとつは「悪犬伝説」ひとつは「愛犬伝説」です。
秀吉も信長同様、鷹狩りを好んだそうで、鷹狩用の犬である「鷹犬」は「御犬」と呼んで大事にされましたが、反対に、野犬は殺されて鷹の餌にされたという話があります。犬の運命は天国と地獄の、両極端の開きがあったんですね。そういった犬の祟りを恐れて供養したのかもしれません。
心理学者・大場登著『精神分析とユング心理学』には、神話について、
「その国・その文化圏の人々の心が一致して「受け入れてきた」、その意味で個人を超えた、文化的、あるいは普遍的な「世界観」の表現とみることもできる。人々の心によって受容されないものが歴史を超えて残り続けることはほほとんどありえない」
と言っています。伝説は神話より、もっと具体的な物語ですが、残り方としては同じでしょう。
伝説に、「悪犬」と「愛犬」という一見矛盾するような2つの伝説が同時に伝わっていることも、人間の心の葛藤をそのまま表しているような気がします。「野犬」と「鷹犬」の、あまりにも両極端な2つの犬の立場そのものが伝わった結果なのかもしれません。
とにかく史実はどうであれ、羽の生えた犬というユニークな動物を生み出した人々の発想に驚くし、面白いなぁと思います。
古くは鷹狩自体を「鷹犬」と呼んでいるケースも多くあるそうで、鷹狩では「鷹」と「犬」は切り離せないものだったようです。
空に飛び上がるような犬の像はまさに羽の生えた鳥と犬が合体したような姿で、「羽犬」はまさに「鷹犬」そのままではないかと思うのですが。
これが偶然にも、2017年と2018年の干支が合体したような姿になっています。
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