【犬狼物語 其の百四十七】 岐阜県恵那市 中山神社の土製のお犬さま
岐阜県恵那市の山中に「お犬さま」信仰が息づく中山神社が鎮座しています。
ここは、数年前に紅葉の時期に訪ねています。ヴィーノを連れて日本一周しているときでした。
今回は霧雨が降り、境内の雰囲気は神秘的なものでした。
中山神社の何が面白いのかというと、拝殿横に造形的にも優れている独特のお犬さま像があるから。ここでもオオカミが神使です。そして土製の「お犬さま」もユニークなものです。
『狐憑きを祓うおいぬ様信仰』と神崎かず子氏の『陶製狛犬の伝来と民俗習慣に関する報告一「陶磁のこま犬百面相」展拾遺一』を参考に要約すると、
秩父の「お犬さま」は紙に刷ったお札ですが、中山神社では土焼き製の犬像をお借りすることができるのです。髙さ5~10cmくらい、鉄紬や瓦製のものが主で、細長い口吻部、長く直立した尾。狐と見間違えるようなお姿です。
ここの「お犬さま」はとくに、狐憑きを祓う効果がある、魔除けにもなるといわれています。
今ではあまり聞かなくなりましたが、「狐に憑かれた」とか「狐憑き」とは、狐の霊に取り憑かれたと言われる人の精神の錯乱した状態で、今でいうと精神病の一種と考えられる症状です。
お祓いを受けて、狐の霊を追い出すことで治そうとした、ということです。その効果があると信じられたのが中山神社のお犬さまです。
10月の例大祭のときに、その狛犬を持参してお祓いをしてもらい、自宅に持ち帰って祀り、病気が治ればその狛犬を翌年神社に返します。ただその時は、倍の数(2体)を返すことになっています。
昔からこの中山神社のお犬さまの効果は知られていたらしく、日本各地から、ここのお犬さまの狛犬が発見されているという。
神社の境内には、お犬さまを祀った祠が設けられています。お犬さまが10体ほど並んでいました。素朴な美しさがあります。去年の例大祭で返されたものでしょうか。
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