【犬狼物語 其の百四十五】 日比谷公園内の「ル-パロマ-ナ」(ローマの牝狼)
大手書店で、レジ脇に『全国の犬像をめぐる』を平積みしてもらっているのをツイッターで見て、あの中江有里さんのブックレビューは、あらためて影響力が大きいなぁと感心しています。
昨日は国会図書館で、「忠犬ハチ公」と、「お犬さま信仰」について調べました。
忠犬ハチ公については、『全国の犬像をめぐる』ですでに書いているんですが、まだまだいろんな新事実がわかってきて、それを増刷分で加筆するつもりです。
それと10月号の雑誌で「お犬さま(オオカミ)信仰」について写真と文章で発表する予定なので、調べなおしているところです。
犬と狼の間を、最近はいったりきたりしています。
もともと、「山犬」は「ニホンオオカミ」のことでしたが、山には、オオカミもいたし、オオカミと犬との混血もいたし、山で暮らす野犬もいたし、たまたま山に来たイエイヌもいたし、さらには、中国にはいて日本にはいなかった「豺」という動物が、日本人のイメージの中には存在していた、という具合で、たとえ、昔の人が「山犬」に遭遇しても、どれがどれだか区別はつかなかったというのが真相でしょう。
だから、「お犬さま信仰」と言っても、生物学上の「ニホンオオカミ」だけに対する信仰ではなく、こういったいろんな「山犬」を含んだ、「お犬さま」という抽象的なイメージが、山の神の使いとして信仰されたということなのだと思います。
それと、しっぺい太郎伝説や、霊犬早太郎伝説などの「猿神退治伝説」では、「あるところから山犬を借りてきて、ヒヒの怪物をやっつけてもらう」という構図になっていますが、お犬さま信仰が盛んなところでも、「お犬さまのお札を借りてきて、猿や猪や鹿をおいはらってもらう」ということです。
実際昔、オオカミ犬を飼っていた犬養部が猿猪などの害獣退治に活躍していたらしく、そういった話が猿神退治伝説になって残っているようです。
図書館へ行ったついでに、狼像、犬像を3体ほど撮影しました。これはそのうち改めて紹介するつもりですが、日比谷公園内の「ル-パロマ-ナ」(ローマの牝狼)だけアップしておきます。
この彫像は昭和13年にイタリアから東京市に寄贈されたものです。
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