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2017/08/05

東京都瑞穂町 昔の田んぼとイランの棚田

170805_1(『武蔵野話』より)

170805_2(『武蔵名勝図絵』 加藤塚)

170805_3(『武蔵名勝図絵』 阿豆佐味天神社)

Ir_09(イラン・ギーラーン州の田んぼ(棚田))

03
(広重「信州更科田毎の月」  元画像:国立国会図書館デジタル化資料


10月号(9月1日売り)の「家庭画報」で、秋の田んぼのグラビアが6Pで掲載されます。ちょうど入稿が済みました。

今回のグラビアは「棚田」だけではなく、いわゆる平地の田んぼも含みます。


ところで、昨日、ニホンオオカミ像を撮るために、東京都瑞穂町の郷土資料館「けやき館」を訪ねたことはすでにアップしましたが、ついでに、資料館を見学した時、田んぼに関してたいへん興味深い資料を見つけました。

それが上に掲載している写真ですが、これらは、パネルで展示されていたものです。

今では、畝町直しや区画整理で、平地の田んぼはずいぶんと広くなりましたが、もともとは、このような小区画の田んぼが広がっていたんですね。

この資料は『武蔵名勝図会(むさしめいしょうずえ)』というそうです。

解説文を引用すると、

「『武蔵名勝図絵』は、多摩郡の名所・旧跡を纏めた江戸後期の地誌です。著者上田孟縉は八王子千人同心の組頭で、千人同心が幕府の地誌『新編武蔵風土記稿』編纂に携わった際、多摩を含む三郡の調査・執筆に従事しました。その副産物として生まれたのが、孟縉が独自に作成した『武蔵名勝図絵』です。(略)『武蔵名勝図絵』には往古の加藤塚や、阿豆佐味天神社の様子が描かれています。」

瑞穂町の昔の風景が偲ばれるものですが、田んぼがすべて棚田のように見えます。ただそんなに傾斜がなくても、昔は、小区画の田んぼが主だったことが一目瞭然です。当時は写真がなかったので、こういった絵が貴重な歴史的資料になります。

これは武蔵野ですが、昔の江戸近郊の田んぼはみな、このような形だったのでしょうね。

これを見て、イランのカスピ海沿岸地方の村で見た田んぼ(棚田)を思い出しました。写真を見てもらうとわかるように、それほど高低差がないところでも、田んぼは棚田のように小区画になっています。昔、農業用水の取水と排水には、この方が簡単だったということでもあるでしょう。

ところで、もうひとつ、「田毎の月」で気が付いたこと。

今では、「田毎の月」というと姨捨の棚田を筆頭に、棚田で鑑賞するもの、というイメージがありますが、もしかしたら、平地でも鑑賞したのかもしれません。広重「信州更科田毎の月」は、まさに平地の田んぼに月が映っています。
 
 
 
 
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