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2017/10/26

【犬狼物語 其の二百一】 山形県高畠町 安久津八幡神社 狛犬か?狼像か?高安犬像か?

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宮城県の方から国道113号線で山形県高畠町に入りました。

安久津八幡神社に近づくと急に霧が立ち込め、視界が悪くなりました。ここは安久津八幡神社とまほろば古の里歴史公園になっています。

三重塔が霧から浮かび上がり、より神秘性が増したようです。寛政9年(1797年)に再建された(初建は寛永2年)三重塔の前には水田があり、稲刈り直前の黄色い稲がたわわに実をつけています。

安久津八幡神社は平安後期、源義家が奥州平定のために戦勝を祈願して、鎌倉鶴岡八幡を勧請したと伝えられていますが、はっきりわからないようです。

参道途中には舞楽殿があり、その奥、階段を上ったところに本殿があります。三重塔、舞楽殿、本殿は県の指定文化財になっています。

「耳の神様」という小さな祠もありました。「耳の神様」というのは初めて知りました。聴力向上にご利益があるのでしょうか。

本殿手前、階段を上った両側で、1対の像が本殿を護っています。これは狛犬のようでもあり、狼のようでも、犬のようでもあります。

この曖昧さで、人それぞれどのようにも解釈でき、心の奥底(深層心理)を刺激するような何か得体のしれないものを感じもします。像は、ある意味、見る人の深層心理を映す鏡にもなるわけですね。決してこの曖昧さは嫌いではありません。

このあたり「高安犬」の産地だったことを考えると、高安犬の犬像という可能性もあるでしょう。

「チンは高安犬としての純血を保っていた最後の犬だった、と私はいまもって信じている。」

という書きだしで始まる直木賞受賞作家、戸川幸夫の『高安犬物語』があります。

戸川は、高安犬に魅かれる理由を「亡びゆく種族への愛惜」といっていますが、「チン」という名の最後の高安犬に出会った時の印象をこのように描写しています。

「ぴんと立った耳、大張子のように張った胸、逞しく巻き上がった尾、きっと正面を見すえる刺すような瞳。悠々と力強く歩いてくるその犬を見た瞬間、私はこれこそ長い間さがし求めていたものだと感じた。この犬がチンだった。」

高安犬は、数枚の写真が残っているものの、事情があって剥製は残されていないそうです。

『高安犬物語』を読んで、神社の犬像を見ると、長年の風雪ですり減ったようで「ぴんと立った耳」とは言えませんが、体つきはがっしりしていて、個人的にはやっぱり高安犬を象った犬像なのではないかな、いや、そうだといいなという願望も入っていますが、残念ながら想像の域を出ません。
 
 
 
 
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