【犬狼物語 其の百九十六】 栃木県河内町 高靇(たかお)神社の犬像
栃木県河内町の高靇(たかお)神社も、また高龗神を祀る神社の1社です。
車道から延びる石の階段には「高靇神社」の額を掲げた一の鳥居。途中には二の鳥居があり、天保時代の古い手水石も。
木造の長屋ふうの門があり、そこから数段上ったところに苔むしたいい感じの石造りの犬像が控えています。2対ありますが、1対は和犬、もう1対は和犬ふうの狛犬のようです。どちらも高さは50cmくらいです。
午後の光が木々の間から射しこんで、犬像を浮かび上がらせます。ハッとする神々しい気持ちになります。
犬像を作った石工もすごいとは思いますが、まるでこの光も意識しておかれたのかと思うほどの、舞台としては完璧な場所です。
宗教がないと自分自身でも言っている日本人ですが、日本人の宗教性は特定の神からの教えではなく、全体の調和を大切にし、その美意識に従っていると言われます。だからその場の美しい調和は、そのまま宗教性の表れではないか、この美しい場を作ること自体が、日本人の宗教性そのものなのかもしれません。
ここにも犬像の由来書はありませんでした。高龗神と犬像との関係については、前回の「さくら市 高尾神社」で書いているので、そちらでどうぞ。
垂れた耳が可愛らしい和犬像は、どこかで見た姿だなぁと、思い出したら、千葉県の久留里城址の城山神明社に奉納されていた和犬像を髣髴とさせるものです。ヴィーノと似てるあれです。
あれも丹生明神由来の和犬像でした。これもそうなのかもしれません。
神社は小さいですが、拝殿には回廊があって、右側に2体、左側に4体の和犬像が奉納されています。この像は高さが20~30cmの小柄な像です。それぞれ個性的で、いろんなタイプの犬像がいて面白い。
それにしても、雨上がりの湿った薮には蚊が多い。蚊くらい我慢しろという話なんでしょうが。すばらしい犬像にお参りするためには仕方ありません。蚊も、その場の調和に無くてはならないものかもしれないし。
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