【犬狼物語 其の二百十三】 埼玉県皆野町 蓑神社(蓑山神社)
蓑神社(蓑山神社)は、秩父盆地の東側、蓑山(美ノ山)に鎮座する古社です。
蓑山公園からは市街地や荒川の流れなどを望むことができます。
駐車場から歩いて約10分、榛名神社があり、蓑神社への案内板は急坂を下りるように指示していました。
あとでわかったのですが、このまま遊歩道を行ってもよく、急坂は、神社の裏から入るショートカットでした。(表参道は皆野駅から上っていきます)
かなり険しい急坂で、小石や落ち葉に足を取られながら下ると、10分ほどで蓑神社の境内にたどり着きました。
ここは皆野町の椋神社(野巻椋神社ではりません)の奥社でもあるらしい。蓑神社の狼のお札を授与しているのも椋神社です。
午後の陽が木々の間から射し込み、あたりは静かで、いい雰囲気です。
しかもお犬さまの像がすばらしい。
山の神を護るにふさわしい迫力あるお犬さま像です。野性味あふれ、痩せていて肋骨や肩甲骨まで浮き出ています。
西洋の牧畜民の狼に対する「恐怖」「敵対」とは違って、怖いんだけど、魅かれるといった一見矛盾するような複雑な感覚を表しているイメージだと思いますが、どうでしょうか。
小林茂著『秩父 山の民族考古』には皆野町蓑神社について、早川由宇子さんの聞き書きとして次のようにあります。
「以前、蓑山には沢山の狼がいたそうで、そのうち、一匹を殺し毛皮にしたところ、毎夜狼の遠吠えでねむれず、ついに毛皮を返すことになり、その日からは遠吠えはやみ、山中に狼達が死んだ狼の葬式をしたあとがあったそうである。そこをオイヌのクボと呼び、一年に一回オタキアゲをするようになったということである。」
とのことです。
オタキアゲとは、狼にご飯を備える神事で、三峯神社、宝登山神社などでも行われています。実際にオイヌのクボと呼ばれる穴があったそうです。(今もあるか不明)
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