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2017/12/09

六本木・ストライプハウスギャラリーで開催の玉川麻衣さん個展「流転抄」

Dnb_drdvaaavdlv(『流転』 玉川さんのツイッターより)


玉川麻衣さんの狼の絵を初めて見たのは、今年7月に開催されていた「狼伝承と登る七ツ石山展」でした。

第一印象は、これはなんだ?!という驚きです。ペンで描いた細密画です。

玉川さんには怒られるかもしれませんが、あの鶴の恩返しの「つう」が、自分の羽を抜いて織物にしているような、心身を削って絵にしているような印象です。
 
 
六本木・ストライプハウスギャラリー
〒106-0032東京都港区六本木5-10-33-3F
Tel:03-3405-8108
 
 
今回のギャラリーには「野晒し」シリーズと、狼の絵が展示してありました。

玉川さんの言葉も掲げられていて、七ツ石神社や神社を護っている狼像のことに触れたあと、

  今回の狼図は、その狼たちを思って描きました。

  失われゆくもの、忘れられゆくもの

  崩れかけた狼像は大切なものを必死で守っているように見えたのです。

とありました。

「失われゆくもの、忘れられゆくもの」と聞いて、山形県高畠町にかつていたという高安犬のことを思いました。

「チンは高安犬としての純血を保っていた最後の犬だった、と私はいまもって信じている。」

という書きだしで始まる直木賞受賞作家・戸川幸夫の『高安犬物語』がありますが、高安犬に魅かれる理由を「亡びゆく種族への愛惜」と書いています。

高安犬も日本狼も滅んでしまったのですが、七ツ石神社の狼像は傷つきながらも、時代の流れに必死であらがっている姿にも見えてきます。

七ツ石神社へ向かう登山道が舞台になっているので、空間的なストーリーもあり、暗い異界へ分け入るわくわくする感じ、怖い感じ、にもかかわらず、矛盾するようですが、山の静けさの中にスーッと入っていくような心地よさも感じます。

絵に描かれた狼たちはまさに山の神の使いのようです。そして狼が玉川さんご自身の姿でもあるのでしょう。
 
 
 
 
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