インスタグラム(SNS)の「写真療法」としてのメリット
以前、こういう記事がネットにあがっていました。
「インスタグラムに投稿する写真で「うつ病」がわかる!」
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12104-93759/
と、いうものです。記事から引用すると、
1.色では青色と灰色が強く、全体に暗く、ぼんやりしている。
2.モノトーン加工を好んで使う。
3.顔のアップが少なく、引きの写真が多い。正面の写真が少なく、斜めや横からの写真が多い。
4.他人と一緒の写真が少なく、自撮り写真が多い。
5.投稿頻度は高め。コメントは多いが「いいね!」は少ない。
こういう写真を投稿する人は、「うつ病」かもしれない、という記事です。
でも、そもそもインスタグラムに投稿できるなら、たとえうつ病だとしても、まだ程度は軽いのかもしれません。深刻ならインスタグラムどころではないでしょうし。だから「うつ傾向」と言ったほうが当たっているかもしれません。
ただ、「暗い写真」だから「うつ病」と決めつけられるのも、なんだなぁと思います。俺なんか、モノクロ写真で、暗い狼像ばかり投稿しているので、一発で「うつ病」に判断されてしまうでしょう。
写真というのは、そんな単純な精神状態の産物ではないのです。だからこれはあまりあてにならない判断基準だと思います。
ただ、インスタグラム自体は、精神衛生上プラスであることは確実です。これを「写真療法」として見れば。
箱庭療法などを含む芸術療法(アートセラピー)の中には、写真療法というのも入っています。芸術療法は、日本では1960年代から研究実践されていて、イギリスでは保険サービスとして認められている公式な療法です。
心理学を勉強するようになって、俺にとっての写真を撮る行為は、写真療法そのものになっていたんだなぁということに気が付きました。「療法」というと病気を治すイメージですが、「表現」にはそもそもそういう治療的側面が伴っているので、ここでは、あまり病気か病気でないかを区別する必要はないでしょう。
日本芸術療法学会理事の山中康裕先生は「写真療法」を初めて提唱した方です。
精神的に悩むある患者さんがいて、写真が好きだとわかったので、写真を撮るように勧めたら、撮ること自体で、症状が改善したという例から思いついたらしいのです。
病気の人にだけではなくて、イメージの表現は一般の人にも、精神的にいい状態を保つひとつの方法であるといいます。
ちょっと前なら、「写真療法」がいいと言っても、それはカメラを持っている人や、写真が趣味な人、といった限られたものだったでしょうが、これだけSNSが流行り、誰でも、どこでも、写真が撮れるようになった今こそ、「写真療法」は生かされるのではないかと思います。
しかも、「撮る」だけではなく、「見せる」ことも簡単にできます。そして、それに対しての反応もすぐわかります。「いいね!」がいくつ付けられるかで、ある程度の判断ができます。
そんなメリットを生かさない手はありません。
ただ、あまり「いいね!」ばかりを期待しないことも大切です。撮ること自体がいいのであって、「いいね!」を期待しすぎることは、かえってストレスを感じてしまい、逆効果です。
投稿しっぱなし、それが「写真療法」としてみたインスタグラムのいい使い方ではないでしょうか。
「いいね!」がなくても、誰かが見てくれている(かもしれない)という状態が「表現療法」としいてはいいのです。
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