2018年は戌年 「犬・戌・狗」のトンパ文字
恒例ですが、来年2018年の干支「犬・戌・いぬ」のトンパ文字デザインをアップします。
今年は事情があって年賀状作成時期には遅すぎたようで申し訳ありません。
なお、年末に向けて、デザインを増やしていく予定です。
トンパ文字(東巴文)は中国雲南省北西部、麗江を中心に住むナシ(納西)族に伝わる象形文字です。
麗江は、中国雲南省の西北部、チベット高原の東南端に位 置します。省都昆明から約600キロ、飛行機と車を使えば2時間で到着します。
麗江を象徴する玉龍雪山を望む平地では、水稲、とうもろこし、小麦、そらまめ、大豆などが主に栽培されています。他に換金作物としての綿花、麻、油菜、唐辛子も作られています。雪山に近付くにつれて、耕作地には適さない土地になり、牛、山羊などの放牧が細々と行われています。
十数年前の時点では、住民の57パーセント、約17万人がナシ(納西)族で、その他、漢、ぺー、リス、イ、プミ族などが住んでいます。麗江が世界遺産になってからは主に商売目的で漢族が多くなったので、57パーセントは変化しているかもしれません。
ナシ族の祖先は古代中国の西北部に住んでいた遊牧民羌族で、その中の一派が南遷し、やがて現在の麗江に住むようになったと考えられています。
ナシ族は千年あまり前、表意象形文字を作り出しました。この象形文字で、民間故事伝説、宗教経典などを著しました。とくに、この文字は、トンパ(東巴)教の経典を書写 するのに用いたところから「東巴文(トンパ文字)」と呼ばれます。ナシ語では「ソチォ・ルチォ」(樹の記録・石の記録)と呼び、千数百種類(1200~1300とも言われる)の文字があります。
トンパ(東巴)教は、ナシ族の原始宗教で、太陽、月、星、山、水、風、火などの自然物を崇拝し、万物に霊魂がやどると信じられていました。 唐の時代から、ナシ族とチベット高原の吐蕃とは頻繁に接触があり、トンパ教は、チベットのボン教の影響、および仏教、道教の影響も受けているといわれます。冠婚葬祭や、病気の時や、邪気払いの時は、トンパを呼んで儀式を行ってもらっていました。トンパは、宗教儀式を司る祭司のことで「智者」を意味します。しかしこの宗教も、1950年代からだんだん廃れていきました。
トンパ文字で著したトンパ経典は現在でも、中国内外に2万冊ほどが残っています。経典の内容は、宗教、民俗、歴史、文学、天文歴法、哲学など多岐にわたっています。古代ナシ族の「百科全書」と呼ばれるゆえんです。
宗教儀式同様、今ではこのトンパ文字を読める人間もほとんどいなくなってしまい、トンパ文化研究所を中心に保存活動が行われているところです。
でも、最近ではトンパ文化が見直されて、学校でも教えられているというニュースを見たので、これからもトンパ文字は生き続けていくかもしれません。
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