独演劇『土佐源氏』を演じ続けている坂本長利さんの公演が12月15日
独演劇『土佐源氏』を演じ続けている坂本長利さんの公演と、資料展が開催されます。
資料展は12月14日から19日まで(15日は休み)、公演は12月15日です。
資料展では2年前の公演で撮影した坂本さんの写真も展示されます。
『土佐源氏』とはどういったものなのでしょうか。
民俗学者・宮本常一さんが、昭和16年の冬、高知県梼原村で聞き取った話で、『忘れられた日本人』に収められています。
ひとりの盲目の老人の口から語られるのは、楽しくて明るい色彩豊かな世界なのです。これには驚きます。
あまりによくできた話なので、これは宮本さんのねつ造ではないか?と疑われるほどでした。
馬喰(ばくろう)をしていた男の女性遍歴の語りですが、なぜか女にはモテた(懺悔も含まれる)、という話なんです。
結果、自慢話なのですが、自己分析も面白いのです。
「牛と女子(おなご)にだけは嘘をつかなんだ」
「牛と女子(おなご)の尻はなめる」
相手の宮本さんに、「あんたも、女子をかまったこと、ありなさるじゃろ?」と聞きます。そして、女子はどんなに身分が高かろうが、やさしさを求めているんだという意味のことを語るのでした。
何もない自分がなぜ女にだけはモテたか、真理をついていた自己分析といってもいいでしょう。
もうひとつ印象的なセリフがありました。
「百姓は石を金に換えてくれる」
という言葉です。
馬喰の話は牛をなんとか高値で売ろうとするので、嘘が8割くらいになってしまうのだそうです。ただ、牛を百姓に渡して育ててもらう、そうすると、百姓はいっしょうけんめいに育ててくれるので、牛の価値が実際に上がる。だから結果的に、馬喰の嘘は3割に減る。そんな内容です。
つまり優秀な百姓がいなかったら、馬喰としての生活は成り立たなかった。深いところで、男が百姓に感謝していたことを感じます。
そしてこの話を採取し、選択し、発表したという行為は、日本全国の百姓たちに対する、宮本さんなりの感謝や尊敬のメッセージでもあったのではないでしょうか。
【企画・会場】 日本茶喫茶「楽風」
さいたま市浦和区岸町4-25-12 電話 048-825-3910
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