【犬狼物語 其の二百十九】 埼玉県さいたま市 ニッパー像と犬のおもちゃ
今開催中の写真展「全国の犬像をめぐる」の会場は、埼玉県さいたま市浦和区にある和風カフェの「ギャラリー楽風」です。
近くに狛犬ではなくウサギ像の調神社(つきじんじゃ)も鎮座する歴史の町です。
旧中山道に面している老舗のお茶屋、青山茶舗が経営しているカフェですが、建物がまたすばらしく、明治24年に建てられたお茶屋の倉庫として使われていたものをカフェに改造したものです。
そんな歴史的なカフェの青山さんが、ニッパー像を持っていることを知ったのは、去年の夏ころでした。
今年は戌年ということもあり、正月に犬像の写真展をやることになったとき、青山さんが「こういうのがあるんですが」と言って見せてくれたのが、首と胴体が分かれた古いニッパー像でした。
これは15年前に骨董店から購入したものだそうです。詳しいことはわかりませんが、昔、電気店やレコード店の店先に置いてあったものらしい。首輪にはかろうじて「victor」と読めます。
Wikiによると、
「ニッパー (Nipper) は、絵画『His Master's Voice』のモデルとなったイヌ。蓄音機に耳を傾けるニッパーを描いたその絵画は、日本ビクター(現・JVCケンウッド)やHMV、RCAなどの企業のトレードマークとして知られる。」
「ニッパーの最初の飼い主は、イギリスの風景画家マーク・ヘンリー・バロウドであった。1887年にマークが病死したため、弟の画家フランシス・バロウド(英語版)がニッパーを引き取った。彼は亡き飼い主・マークの声が聴こえる蓄音機を不思議そうに覗き込むニッパーの姿を描いた。」
それが『His Master's Voice』。
主人の声に耳を傾けているところを想像すると、胸がきゅんとしてしまいます。亡くなった主人の声を覚えていて、どうしてここから聴こえてくるんだろう?と不思議に思った仕草かもしれません。
ヴィーノも、口笛なんか吹いたとき、何の音だ?というふうに首をかしげることがあります。犬にとって敏感な音というものがあるのでしょう。聴覚に関しても、人間は犬にはかないません。犬は、人間が聞き取れない高周波数音も聞き取っています。すばらしい能力です。人間は犬の聴力にも頼ってきたんですよね。
このニッパーは、耳だけ黒くて、全身が白い犬ですが、渋谷区のビクタースタジオ玄関の像はブロンズ製なのか黒褐色です。そのことについては、昨年すでに書いています。
犬像の写真展なので、会場の入り口に、首をくっつけたニッパー像を置いてもらいました。だからずっと飾っているわけではありません。
ところで、青山さんは古いおもちゃのコレクターでもあり、ニッパー像もその一つであったのですが、他にも興味深い犬のおもちゃをたくさん持っていました。だいたいは5、60年前のおもちゃだそうで、made in japanと書いてあります。主に輸出用だったらしい。
『何でも鑑定団』を見ていると、こういった古いおもちゃも箱といっしょだともっと価値が上がるようで、青山さんも箱付きで持っていますが、今回は、写真を撮るために箱から出してもらいました。
『犬像』の続編として2冊目に取り掛かっていますが、まだ、どの犬像を入れるか考え中です。今発売中の「週刊新潮」の「掲示板」で、犬像情報を募集しています。
この結果待ちですが、次回作には、ビクタースタジオのニッパー像と青山さんのニッパー像も取り上げようと思います。
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