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2018/02/01

【犬狼物語 其の二百二十六】 静岡県富士宮市 杉田子安神社

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かつて、栄養も医療環境も良くなかった時代に、出産・子育てはたいへんなことで、難産の末に亡くなったり、幼くして亡くなってしまう赤ちゃんも多く、このため、安産・子授け・子育てを神仏に祈願することが熱心に行われた。これが子安信仰だ。

子安信仰の形はいろいろあり、木花開耶姫(このはなさくやひめ)、子安観音、地蔵、鬼子母神などの神仏の他、安産・多産の象徴として犬も信仰の対象になった。戌の日に安産のお参りをする、妊娠5ヶ月の戌の日に妊婦が岩田帯をつけるのもそのためだ。「犬張子」「犬の子」のようなものもある。

全国には、「子宝犬」「撫で犬」「守護犬」「夢叶い犬」など、子安信仰による犬像が多数存在する。有名なところでは、東京都の水天宮の境内にも「子宝犬」の像がある。

その中の一社、静岡県富士宮市の杉田子安神社は、富士山山麓の茶畑の中に鎮座する。参道の入口から望むと、社殿の屋根の上に富士山山頂が重なる。

杉田子安神社は子安信仰の神社で、地元はもちろん県外からも多くの参拝者が訪れる。現在の社殿は平成13年に再建されたもので、参拝者の休憩所やトイレも完備されているきれいな建物だ。

ここは 静岡県が認定した「エンゼルパワースポット」に選ばれている。総選挙人気投票ランキングで、「行って良かった」部門で第一位を獲得したそうで認定書も飾ってあった。「エンゼルパワースポット」とは静岡県が、県民から広く募集した「恋愛・結婚・子宝」にまつわるスポットのこと。

ここに奉納されている木彫りの「母犬像」は、横たわった母犬に、子犬がお乳を吸うためまとわりついているもので、撫でると子宝に恵まれるという噂が、参拝者の間に広まった。

母犬像の曲線は流れるように美しく、木のぬくもりは母犬のぬくもりそのものだ。木彫りの像は優しさを感じさせるが、屋内だから置くことができる像でもある。

社殿内には母犬像の他、赤ちゃんを運ぶコウノトリをモチーフにした像もあって、子安信仰の神社を強く意識させるものになっている。

杉田子安神社には、「安」という女性を子安霊神として祀る伝承が伝わっている。

富士宮市のHPから引用すると、

「郡内に安という女の子がいました。安は奉公に出されてよく働きましたが、嫁入り前に子どもができ、 噂を苦にして湖に身を投げてしまいました。

子どもを産むことができなかった安は、霊となってお産に苦しむ人を助けようと各地を巡りました。 ある日、杉田村の望月与志さんの夢枕に立ち、言いました。

「私をこの地に祀ってください。皆さんのお産を守ります」

与志さんは、このことを名主さんや村の人々に話し、子安霊神として祀りました。

この神社にお願いすると安産で丈夫な子が授かるということで、拝殿には各地の子安講中から絵馬が 奉納されています。祈祷が叶うと、お礼に「ほうこうさん」(這子さん)という、手作りの人形を奉納するそうです。」

このような伝承だが、実際、神殿前には今も赤い「這子さん」がたくさん奉納されている。

お参りにきていた30代カップルに話を聞いた。

二人は東京在住だが、年1回くらい、数回はここに来ているという。静岡でパワースポットと言えば、ここが有名で、まだ子供はなく、神社でパワーを頂いているそうだ。

ところで、夢のお告げで思い出したのは、つくばみらい市の板橋不動尊の白犬伝説だ。

雌雄の白い犬が夢に現れ、「女人講中揃って不動尊に参詣し、護摩祈願を成せば難産の苦しみを救わん」とのお告があった。それでお告げ通りにして、白犬一対奉納したところ難産で苦しむ者は一人もなくなったという。以来板橋不動を別名お犬不動尊と呼ぶようになった。

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