【犬狼物語 其の二百九十五】愛知県豊川市 犬頭神社
豊川市に五穀・桑蚕とかかわりの深い「保食神」を祭神とする犬頭神社があります。
このあたりは、古くから養蚕の盛んな地として知られ、「犬頭糸」と呼ばれる上質の生糸を朝廷に納めていました。
『今昔物語』に「參河國始犬頭糸語(参河の国に犬頭の糸を始めたること)」として、次のような話が載っています。Wikiから要約すると、
「三河国の郡司は、蚕がみな死んでしまった本妻の家に通わなくなった。そのため本妻は貧しくなり、見つけた一匹の蚕も、白い犬に食われてしまった。しかし、くしゃみをした白犬の鼻の穴から2本の糸が出てきた。この糸は引いても引いても出続けて、糸は巻き尽くされたが犬も倒れて死んでしまった。妻はこれを仏の助けに違いないと思い、桑の木の根元に犬を埋葬した。
ある日、郡司が本妻のところを訪ねると、白く光り輝く大量の生糸を見て、郡司は仏の加護がある人を粗末に扱った自分を悔いて、新しい妻の元に通わずに本妻の家に留まったという。犬を埋めた桑の木には沢山の蚕がついて素晴らしい糸が採れた。」
という話です。
それにしてもこの郡司さん、蚕がいなくなった本妻を捨てたのに、今度は、生糸がたくさん採れたからといって本妻のところに戻ってくるとは、ずいぶんあからさまな人物ですね。別な言い方をすれば、正直者かもしれません。まぁ、話の本筋ではないのですが。
話の印象としては、「犬」や「木に沢山の〇〇」などと聞くと、「花坂爺さん」を思わせます。
境内に立っていた解説看板にも、「ご神木の桑の木」と書いてありました。探していると、近所の人が来たので声をかけると、手水盆の近くにある木を指して「これです」という。
「これが桑の木?」
なんと、巨大なこの木が、桑だったのです。確かにしめ縄を回してあるのでご神木らしい。訪ねたのは3月で、まったく葉もないのでわからなかったのですが、夏にはちゃんと大きな桑の実もなるということでした。桑の木は生きています。
ところで、神社の大祭では手筒花火をやるそうです。
それと厄年の人が餅を奉納して拝殿のところに櫓を組んで、そこから村人に餅をまきます。20年ほどまえから餅の中に景品を書いた札を入れるようになったとのこと。景品は豪華で、自転車などがあるそうです。
神社の隣の建物は立派な回り舞台ですが、残念ながら今はもう使っていないということでした。
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