映画『クーデター』を観て
『クーデター』の原題は 『No Escape』。2015年のアメリカ映画で、監督・脚本は、ジョン・エリック・ドゥードルです。
怖いといったらいいか、ハラハラするといったらいいか、たんなるエンターテインメントとして映画を楽しむことが難しいと思えるほどです。それだけリアリティがあり、映画的には、いい作品なのでしょう。
俺にとっても、これはある意味、こういう事態が起こった時のシミュレーションとして(サバイバルの教材として)見てしまうようなところがありました。
映画のストーリーは、それほど複雑ではありません。東南アジアのある国で、赴任してきた家族が、突然起こったクーデーターに巻き込まれ、家族を守りながら、必死に逃げるというストーリーです。
このクーデーターが起こった翌朝のシーンがまたリアリティがあったのです。ホテルに新聞が届かないので、主人公は売店に買いに行くのですが、町が妙に静かなのです。
そして「静」から「騒」への転換。突然暴動が起こることで、主人公は何かが起こったことを悟るのです。たぶん、実際もこんな感じなのでしょう。何が起こったか把握できるのは、少し時間が経ってからです。その瞬間は、動物的な勘を頼りに、「そこにある危機」を、とにかく逃れるということが一番です。
主人公の家族を助ける謎の男(CIA?)がいるのですが、主人公は、家族を守るために、クーデーターを起こした側の民兵を殺したことを彼に告白します。彼は言います。
「ここには善悪はない。あるのは、家族を守るかどうかだけ」
舞台は「ある国」なのですが、撮影が行われたのはタイだそうで、「タイ」とわからないようにという条件でロケが許されたそうなのですが、タイに行ったことがある人なら市場の様子からすぐわかるし(だからタイで上映禁止になったのかも)、家族が国境の川を渡って逃げる先が「ベトナム」で、クメール文字のような文字も出ていたので、舞台はカンボジアかなと想像させてしまいます。
ちょうどカンボジアで総選挙が行われましたが、日本政府も民主的な選挙を求めていたくらいで、最近は独裁的な匂いがしてきたところです。だからなおさら、クーデターはありえるなと。
どこの国もクーデターがありそうなので、フィクションに徹するなら、「ベトナム」という実在の国名や、クメール文字なども、架空のものにしたほうが良かったのではないかとも思いますが。
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