【犬狼物語 其の二百九十六】 愛知県磐田市 しっぺい太郎像再訪
磐田市の矢奈比賣神社(見付天神)を再訪しました。
鳥居の前には凛々しい姿のしっぺい太郎像が立っています。細身の体で狼のようにも見えます。「山犬」と書いたものもあるようなので、そうすると狼そのものだったのかもしれません。
見付天神のさらに奥には、こじんまりとした霊犬神社が鎮座しています。ここにはしっぺい太郎の墓碑もあります。
岩田駅前にも行ってみました。駅前広場に置かれたキャラクターの「しっぺい」。見付天神の像とは対照的な、ふくよかでかわいらしい像です。
江戸時代、この「しっぺい太郎型伝説」は日本中で流行り、歌舞伎で演じられたり、外国にも紹介されていた日本を代表する伝説だったようです。
借りてきた犬が化け物(ヒヒ・大猿・ムジナなど)を退治し、それまで人々を苦しめていた人身御供の悪風習がなくなる話で、猿神退治型伝説の1パターンともいわれます。
物語では旅の僧が犬を探してくるのですが、人身御供という旧習を壊すのは地元の人間ではなく、「旅の僧」になっていて、現代でも外圧に弱いと言われる日本人の心情と共通しているようで面白い。
土地によって、「しっぺい太郎」という犬の名前はいろいろです。「ちょっぺ太郎」「べんべこ太郎」「めっけ犬」「メタテカイ」「メッケンゲ」とか・・・
このような話は、行者や修行僧による布教にともなって全国に広がり、民間伝承・伝説になっていったようです。話に登場する「旅の僧侶」は彼らそのものなのかもしれないですね。
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