【犬狼物語 其の三百十六】 栃木県佐野市 犬伏の里(鷲宮神社)再訪
借りてきた犬が化け物(猿神)を退治して人身御供の悪習がなくなるという伝説で、犬の名前は「しっぺい太郎」や「早太郎」や「めっけ犬」などいろいろありますが、江戸時代、日本中で流行った「しっぺい太郎伝説」というものがあります。
犬伏の里にもそのパターンの伝説があって、犬の名前は「ちょっぺ太郎」といいます。
佐野市のHP「犬伏」のページには、「犬伏」の地名の由来としていくつか載っていますが、その中の(1)は、
「古老の話では大昔、この地に大猿が出て婦女子を餌食にするので、何とか防ぐ方法として年に1回の祭に娘を供養に出すことになってから被害は少なくなりましたが、年々娘たちが少なくなっても困るというところから、近江国より、ちょっぺ太郎という大犬をつれてきました。娘の代わりに供養に出したところ犬と猿との戦いによって、両者死に絶えました。それからは人畜に全く被害がなくなりました。これも太郎のおかげであるとのことから、或る丘に犬を埋め供養したことから、犬が丘に伏せているということが伝わり、犬伏町というに至ったものと伝えられています。」
という伝説です。
ちょっぺ太郎と思われる像はあいかわらず前足がない状態で立っていました。アンコールワットに点在するクメール石像のようで、原始的なパワーを感じて好きなのですが、どうして前足がない(なくなった)のか、前から気になっていたところですが、その謎はいまだに解決していません。
それと、このちょっぺ太郎は、犬なのか、狼なのか、ということも曖昧です。『犬像をたずね歩く』では「犬」として書いていますが、本当はわかりません。「狼犬」だという話もあるし。曖昧であること自体、日本の狼事情をよく表しているともいえるのかもしれません。
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