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2019/06/29

【犬狼物語 其の三百五十九~三百六十】栃木県栃木市 藤岡神社遺跡の犬形土製品と縄文犬「藤丸」

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栃木県栃木市藤岡神社遺跡から出土した縄文後期の犬形土製品と、縄文犬「藤丸」です。

すでに、『犬像をたずね歩く  あんな犬、こんな犬32話』の中に収めてありますが、まだ藤岡神社遺跡へは行っていなかったので、今まで【犬狼物語】では紹介していませんでした。今月、ようやく藤岡神社遺跡を訪ねたので、ここにアップします。

渡良瀬遊水地の北西、藤岡神社の境内に隣接した場所は、現在、下水道浄化センターになっていて立入できませんが、遺跡はここにありました。平成3年6月から平成7年9月まで、発掘調査されました。やっぱり現在神社が建っているような場所は、古来から「何か」があった場所なんですね。

藤岡神社遺跡から縄文時代後期の犬型土製品や、犬の頭骨などが出土しています。

この犬型土製品は、日本で出土している犬形土製品としてはたぶん一番有名なもので、去年はフランスで開かれた日本文化を紹介するイベントでも展示されました。

この土製品は口を開けているようなユニークな姿をしています。吠える声が聞こえてきそうです。

重要文化財に指定されているので、許可を取って撮影させてもらったのですが、「触ってもいいですよ」と言われたので、恐る恐る持ってみると、意外とズシリと重いのでびっくりしました。最大長16.3cm、重量215.8グラムあります。また尾の付け根には肛門の穴と、お腹には「×」印があります。

こうした土製品は、狩猟に関する儀式で用いられたのでは?とか、猪形土製品も同時に出土しているので、猪狩りを表しているのでは?とも言われています。また現代の子安犬に通じる豊穣や安産などを祈るものだったとも考えられます。

ただ、学芸員は、冗談めかして言ったのです。「女の子が、その辺の土を丸めてちゃちゃっと犬の形に作ったものかもしれないですよ」と。

結局、誰が、何の目的で作ったかはわからないのです。真実は犬に見えるこの形だけ。女の子が遊びで作った可能性もゼロではないということです。

ただ、わからないからこそ、勝手に想像することも自由で、その学芸員も「そこが考古学の面白いところでもあるんです」とも言いました。これを作った人間は、宗教儀式を執り行う男であれ、村の普通の女の子であれ、犬好きには違いなかったと思います。犬をよく観察していればこその、すばらしい造形だと思うので。

また犬の頭骨からは、樹脂で縄文犬が復元されて、「藤丸」と名前が付けられています。年齢は2歳、肩までの高さは37cmで柴犬くらいの大きさです。額から鼻にかけてのストップ(額段)がなく、狼にも似ています。手足が太く引き締まった体は、優秀な狩猟犬を思わせます。

 

 

 

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