【犬狼物語 其の三百四十九~五十六】栃木県宇都宮市 市内東南部の高寵神社8社
市内東南部には、高寵神社が多く鎮座します。8社訪ねましたが、それぞれは水田や畑が広がる農村地帯の中に、2~3km離れた位置で点在し、それほど時間はかかりませんでした。
『宇都宮の神社』でも、その高寵神社密度の高さに言及しています。作新学院高等学校社会研究部の部員たちは、6年かけて市内280社を調べたといいますが、その中で一番多かったのが高寵神社の37社です。ちなみに次が稲荷神社の35社です。
高寵神社をgoogle地図で検索すると、上流は日光から、下流は宇都宮まで、鬼怒川の右岸に集中しています。とくに宇都宮市の鬼怒川に沿ったところに並んでいるのを見ると、「水」との関連性を想像させます。
昔から洪水が多く発生していた土地でした。高寵神社に祀られている高寵神は雨を司る神で、水害から土地を守るために建てられたといわれています。
2015年9月10日に発生した鬼怒川の洪水では、茨城県常総市で死者2人、3000戸以上が浸水する大惨事になりました。記憶に新しいところです。
岡山県の木野山神社の奥宮で、高寵神は対になる闇寵神とともに、狼の姿で祀られているという話は前も書きましたが、それとは別に犬と水との関連はあったと思います。「犬像」のときに調べたとき、犬の鋭い嗅覚が水源地を探し当てる、という話があったと記憶しています。ここでは「犬」ですが、犬と狼の境があいまいな日本において、犬が狼になったとしても、不思議ではないような気がします。(学者でもない俺が適当なことを言っているだけです)
西刑部町の高寵神社では、どう見ても狼としか思えないような狛犬が守護しています。『宇都宮の神社』ではこれを狐と解釈しているようですが。
東刑部町の高寵神社で、地元のおばあさんと話をしたとき、昔はこのあたりでも洪水で被害がありましたが、堤防ができてからは無くなったといいます。また、「昔は祭りもにぎやかでしたよ。この桜も今年はだめでしたね」と言いました。鳥居横に立っている木は桜の老木らしい。枯れかかっています。
別れ際、おばあさんはポケットを探ったと思ったら、黙って黒飴を差し出してくれました。暑さに疲れた体に甘い食べ物がしみます。
| 固定リンク
コメント