【犬狼物語 其の三百七十四】埼玉県さいたま市 浦和区・高砂の三峯・秋葉両社
埼玉県さいたま市浦和区は、縁があってよく行く街のひとつですが、ここは以前は浦和市で県庁所在地でもありました。なので、旧中山道沿いの宿場という歴史もありながら、近代的なところもあり、「住んでみたい街」ということにも納得できるいい街です。
浦和駅の西口には、コルソや伊勢丹のビルがあります。その裏側にパチンコ店とファミリーレストランがあって、その間に三峯・秋葉両社が鎮座します。
こんなところに神社が?と思えるようなロケーションです。
この神社について何か知っている人はいないだろうか?と思って、探したら、なんと三峯講が存在し、ちゃんと機能していることがわかりました。
「講元」ではありませんが、今年当番を務めている人に話を伺うことができました。
三峯神社は、正確には、三峯と秋葉の合祀です。
まず、この神社は、もともとは(100年以上前から?)浦和駅西口を出た真ん前にありました。(残念ながら狼像は最初からなかったそうです)
神社は、65~70年前に今のコルソがある敷地内に移転しました。
その後、40年ほど前にコルソができるとき、今のところに再移転したというわけです。
三峯講の構成員は、高砂1丁目から4丁目までの全戸です。ただし、活動に参加するのは全員ではなく、有志だけです。若い世代も多くなり、また、忙しくて活動に参加しない講員も多くなったといいます。
当番は1年ごとに変わり、今年は1丁目だから、来年は2丁目の住民というふうに当番が移動していきます。そして毎月19日、野菜、魚、塩、コメなどをお供えする日があります。とくに毎年5月には、調神社から神職が来て祝詞をあげます。そして夕方にはお供えを下げて、みんなで分けます。昔は直会があったようですが、「今は仕事が忙しくて」という。
希望者だけですが、毎年バスで秩父の三峯山へ参拝します。今年も35、6人が参拝しました。(秋葉神社へは行っていない)
「温泉入ったりするのが楽しいんですよ」といいました。今は、特別の願いがあって参拝する訳ではなく、ほぼ100パーセントリクエーションです。そして本社からもらってくるお札も、個人でもらうものだけです。社殿の中にはお札が納められていますが、これはあくまでも個人でもらったもので、講としてのものではないそうです。
この講員の認識では、「三峯が盗難除け、秋葉が火災除け」とのこと。ところが、神社は昔賽銭泥棒の被害に遭ったと笑いました。「でも、神社でお金盗られる代わりに私たちには泥棒は来ないからいいんです」といいました。なるほど、そういうふうにも言えますね。
現在の社殿には「賽銭箱」はなく、貯金箱のような賽銭を投入する口があって、賽銭は社殿の奥へと入っていくので、社殿を壊さない限り賽銭は盗られなくなっています。
でも、これだけの都会(駅近)の神社に三峯講があって、まだ機能しているということに驚かざるを得ません。関東でも少なくなった講社が生きている貴重な三峯の分社と言えるのではないでしょうか。
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