【犬狼物語 其の三百八十九】 埼玉県さいたま市 根岸・神明神社の狼像?犬像?狐像?
埼玉県さいたま市南区の根岸・神明神社を参拝しました。旧中山道から東へ150mほど離れた丘の中腹に鎮座します。
『埼玉の神社』によると、当社の創建の背景には、近世の御師の活発な活動で、中山道沿いに広がっていった伊勢信仰の影響があったようです。
今は、住宅街ですが、昭和初期までは、中山道沿いの集落を除けば、一面田畑が広がる農業地帯でした。でも、昭和30年代から、農家が減少し、代わりに非農家の住宅が増えていき、4000戸になっています。その中で氏子は昔から住んでいる300戸だそうです。
境内には、不思議な像が複数ありました。これは何でしょうか? 狼? 犬? 狐?
拝殿の左側に祠が4つ並んでいて、一番左側が稲荷社で、その隣が、三峯社・八幡社・天満宮が合祀された祠です。
稲荷社と、三峯社の前では、新しい狛狐像が1対づつ護っているのですが、祠の下には、それとは別に、古そうな像が複数置かれていたのです。2対と1体、合計5体の古い像がありました。
まず、稲荷社の下に置かれていた1対と1体、合計3体の像です。高さが25cmくらいで、状態は良いとは言えず、一番左に建つ像は前足部分がなくなっています。首が折れたのを修復した跡もあります。
これは何の像なのでしょうか? これが狼像だと言われれば、あばらの表現や尾が地面で巻いているところなど、今まで見てきた狼像の範疇に入るもので、疑うこともなかったかもしれません。でも、置かれた場所が稲荷社です。だから狐かなとも思ってしまいます。
ただ、置かれ方を見ると、ずっとここに置かれていたわけではなさそうです。隣は三峯社・八幡社・天満宮の合祀の祠ですが、狛狐が護っていたりと、けっこうあいまいな像の置かれ方です。
それと、もっと不思議な像は、石祠の前にあった一対の像です。右側の像はきちんと形が残っていて、すばらしい造形だと思いますが、左側の像は、前足が完全に無くなってしまって、顔だけが前面に飛び出たような姿になっています。
顔を見ると、大嶽神社にあった狼像と似ていて、俺は「バクステ―ル」(フランス映画『バクステール/ぼくを可愛がってください。さもないと何かが起こります。』の主人公、ブルテリア犬)と呼んでいる狼像ですが、奥多摩地方の狼像を彷彿とさせるものです。
ただ、尾が違います。太くて、ピンと上を向いて立っているのです。この尾の立ち方が狐を連想させてしまいます。こんな尾の表現は見たことがありません。
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